企業のデータ活用が進むにつれて、営業・会計・人事・マーケティングなど、さまざまなシステムにデータが分散するケースが増えています。
この時、必要なデータを個別に抽出して加工し、レポートや分析用のデータを作成する作業を手作業で行っていると、多くの時間と手間がかかります。
こうした課題を解決する仕組みとして注目されているのが「ETL(Extract / Transform / Load)」です。
ETLは、複数のシステムからデータを収集し、分析しやすい形に加工してデータ基盤へ格納するための重要なプロセスであり、データ活用を支える重要な基盤技術の1つとなっています。
今回は、ETLの基本的な仕組みや役割をはじめ、ELT・DWH・BIなど関連ツールとの違い、導入メリットや注意点、ツール選定のポイントまで分かりやすく解説します。
これからETLの導入を検討している方や、データ活用基盤の整備を進めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.ETLとは
ETLとは、「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(格納)」の頭文字を取った言葉で、企業内外に散在するデータを収集・加工し、データウェアハウス(DWH)へ統合・保存する一連のプロセスを指します。
販売管理システムや顧客管理システム、クラウドサービスなど、各所に分散しているデータは、そのままでは形式(フォーマット)や表記ルールが異なるため、横断的な分析が困難です。
ETLでは、こうした複数のデータソースから必要なデータを収集し、分析に適した形式へ変換・加工したうえで、データウェアハウス(DWH)へ一元的に格納します。
ETLにより、データの正確性・一貫性を保ちながら、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールによる可視化やレポーティング、データ分析基盤の構築が可能になります。
企業が客観的なデータに基づいて(=データドリブンな)意思決定を行ううえで、ETLは重要な基盤技術の1つです。
ETLが求められる背景
近年、企業を取り巻くデータ環境は急速に複雑化しています。
営業支援システムや会計システム、人事管理システムなど、部門ごとにさまざまなシステムが導入され、それぞれ独立してデータを管理しています。
さらに、クラウドサービスやIoTデバイスの普及により、データの保存場所は社内にとどまらず、社外にも広がっています。
結果として、データがあらゆる場所に分散し、「どこに何のデータがあるのか把握しづらい」という課題が生じています。
例えば、顧客の購買傾向を分析したい場合でも、
- 売上データは販売管理システム
- 問い合わせ履歴は顧客管理システム(CRM)
- 顧客情報は別のデータベース
といったように、必要な情報が複数のシステムに分かれて保存されているケースは少なくありません。
これらのデータを都度手作業で収集・加工していては、膨大な時間と工数がかかり、迅速な意思決定の妨げになります。
現在、多くの企業で「データドリブン経営」(勘や経験だけに頼らず、蓄積された客観的なデータに基づいて意思決定を行う考え方)が求められています。
しかし、データの保存場所が分散し、形式も統一されていない状態では、正確な分析や高度な経営判断を行うことは困難です。
こうした背景から、異なるシステムに存在するデータを抽出し、統一された形式へ変換したうえで、分析基盤へ集約するETLの重要性が高まっています。
ETLを活用することで、保存場所や形式の違いを意識することなくデータを横断的に活用できるようになり、企業の競争力強化につながります。
ETLは、複雑化したデータ環境を整理し、データ活用を前進させるための「基盤」として、今や欠かせない存在となっています。
2.ETLの基本機能
ETLの機能は、その名称が示す通り「抽出(Extract)」「変換(Transform)」「格納(Load)」の3つに大別されます。
抽出(Extract)
複数のデータソースから、分析に必要なデータを取得する工程です。
▼主な抽出元
- リレーショナルデータベース(RDB)
- CRMやERPなどの業務システム
- CSV / Excel / XML / JSONファイル
- API経由のクラウドサービス
- IoTログやアクティビティログ
▼抽出方式
- 更新通知:データ変更時に通知を受け取り抽出(リアルタイム連携向き)
- 増分抽出:前回以降に変更されたデータのみ取得(最も一般的)
- 全抽出:毎回すべてのデータを取得(初期構築時など)
通常は、システム負荷や効率性を考慮して「増分抽出」が多く採用されます。
変換(Transform)
抽出したデータを、分析や業務活用に適した形式へ加工・統一する工程です。
ETLの中でも最も重要、かつ最も工数がかかる部分で、変換処理の精度がそのまま分析精度に直結します。
主な変換処理
①データクレンジング
- 重複データの削除
- 欠損値の補完
- 表記ゆれの統一
- 異常値の修正
②フォーマット統一
- 日付形式の統一(YYYY/MM/DD など)
- 文字コード変換(Shift_JIS → UTF-8など)
- 単位の統一(ポンド → キログラム など)
③マッピング
- コード値を意味のある名称に変換
例:「P051」→「商品A」
例:「A」→「管理職」
④データ統合(マージ・結合)
- 複数システムのデータを結合
- キーを使った関連付け
例:
顧客IDで購買データと会員情報を結合
商品コードで売上データと商品マスタを結合
⑤高度な変換
- 派生項目の作成(売上 − 費用 = 利益)
- データ集計(合計・平均値・中央値)
- 分割処理(氏名を姓・名に分割)
- 暗号化(個人情報保護)
- データ型変換(文字列 → 数値 など)
格納(Load)
変換済みのデータを、データウェアハウス(DWH)などへ一元的に格納する工程です。
▼主な格納先
- データウェアハウス(DWH)
- データマート
- BIツール用データベース
- クラウドデータレイク
▼ロード方式
- フルロード:すべてのデータを上書き
- 増分ロード:差分のみ追加・更新
現在は、パフォーマンスと管理性の観点から「増分ロード」が主流です。
3.ETLツールと他ツールの違い
企業のデータ活用は、一般的に次のような流れで行われます。
ETL/ELT・EAI → DWH → BI
- ETL/ELT:データを集約・加工
- EAI:業務システム同士を連携
- DWH:データを蓄積
- BI:データを分析・可視化
ETL(Extract / Transform / Load)
ETLは、「事前にデータを整えてから保存する」堅実なアプローチです。
▼データの処理順
Extract(抽出)→ Transform(変換)→ Load(格納)
▼特徴
- データをあらかじめ加工してからデータウェアハウス(DWH)へ保存
- 分析基盤の品質を安定させやすい
- 一定期間ごとにまとめて処理する「バッチ処理」(夜間処理など)が基本
▼向いているケース
- 整形済みデータのみを蓄積したい
- データ品質管理を厳密に行いたい
ELT(Extract / Load / Transform)
ETLは「事前にデータを整えてから保存」、ELTは「まず全てのデータを保存し、後から加工」という違いがあります。
▼データの処理順
Extract(抽出)→ Load(格納)→ Transform(変換)
特徴
- 生データを先にDWHへ保存
- 変換処理はDWH側で実施
- クラウドDWHとの相性が良い
▼向いているケース
- 大量データ(ビッグデータ)を扱う
- 分析要件が頻繁に変わる
EAI(Enterprise Application Integration)
EAIは「Enterprise Application Integration(企業アプリケーション統合)」の略で、複数の業務システムをリアルタイムで連携するための仕組みです。
▼特徴
- システム間のリアルタイム連携が目的
- 複数の処理をひとかたまりにした「トランザクション単位」で処理
▼向いているケース
- 受注発生 → 在庫更新を即時反映
- 顧客登録 → 顧客管理システム(CRM)へ同時連携
- 業務プロセスの自動化
ETLとの違い
DWH(Data Warehouse)
DWHは、企業のさまざまなシステムから集めたデータを時系列で蓄積し、分析・意思決定に活用するための「データの倉庫」です。
ETLプロセスを通じて分析しやすい形式に整えられたデータを一元的に格納し、BIツールなどを用いた全社的なデータ分析や、迅速な意思決定を支える基盤として機能します。
BI(Business Intelligence)
BIは、DWHに蓄積された膨大なデータを分析・可視化し、経営層や現場の迅速な意思決定を支援するツールです。
グラフやダッシュボードを用いて数値データを直感的に把握できるため、経営層の戦略立案や現場のKPI管理・業務改善に役立ちます。
4.ETLの導入メリット
ETLを導入するメリットとしては、次の7つが挙げられます。
- 意思決定の迅速化・高度化
- データ品質の向上
- 開発工数・コストの削減
- 業務の自動化・生産性向上
- 大量データの高速処理・拡張性
- データガバナンスとセキュリティの強化
- DX推進に向けた基盤の構築
意思決定の迅速化・高度化
企業内には、販売管理システムや顧客管理システム、会計システム、人事システムなど、用途ごとに異なるシステムが存在し、それぞれ独自の形式でデータが管理されています。
データが部門ごとに分断されている状態では、部門を跨いだ横断的な分析が困難であり、全体最適に基づく意思決定が行いづらくなります。
ETLを活用すれば、各システムからデータを抽出し、統一されたフォーマットへ変換したうえで一元的に集約できます。
複数部門のデータを横断的に分析できる環境が整うことで、経営判断の迅速化・高度化が可能です。
データ品質の向上
ETLの中核である「変換(Transform)」工程では、データの重複や欠損、表記ゆれ、フォーマットの不統一といった問題を整理・修正できます。
さらに、不要データの除去や集計・計算・加工処理なども自動化できるため、分析に適した形へ効率的にデータを整備することが可能です。
こうして正確に整えられた高品質なデータを活用することで、分析結果の信頼性が向上し、誤った意思決定を防ぐことにつながります。
開発工数・コストの削減
従来、異なるデータソース同士を連携させるには、それぞれ個別にプログラムを開発する必要があり、高度な技術力を持つエンジニアの確保や多くの開発工数が不可欠でした。
また、仕様変更のたびに改修作業が必要となり、追加コストが継続的に生じる点も課題でした。
ETLツールを導入すれば、ノーコード/ローコードでデータ処理フローを設計できるようになり、開発期間の短縮とコスト削減が可能です。
さらに、データの処理プロセスが可視化されることで、ブラックボックス化や属人化を防ぎ、安定した運用体制の確立につながります。
業務の自動化・生産性向上
ETLを活用すれば、データの抽出から変換、格納までの一連の処理プロセスを自動化できます。
定期的なバッチ処理やリアルタイム処理の実行設定を行うことで、日々のデータ更新作業を自動化でき、手作業による集計や転記は不要になります。
これにより、人為的ミス(ヒューマンエラー)の発生を抑えつつ業務効率を高められるほか、空いたリソースをデータ分析や戦略立案といったより付加価値の高い業務に充てられる点も大きなメリットです。
大量データの高速処理・拡張性
データ量が増大する現代において、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトでは扱いきれない大量データであっても、ETLを活用すれば短時間で効率的に処理できます。
また、近年のETLプラットフォームは、データ量の増加やシステム拡充にも柔軟に対応できる高い拡張性(スケーラビリティ)を備えています。
ビッグデータ環境への対応はもちろんのこと、将来的な事業拡大を見据えたデータ基盤の強化にも適しています。
データガバナンスとセキュリティの強化
ETLでは、何のデータが、いつ、どこから取得され、どのような処理を経て保存されたのかを明確に記録できます。
データのトレーサビリティ(追跡可能性)を確実に確保することで、監査対応やトラブル発生時の原因究明に役立ちます。
また、「変換(Transform)」工程において暗号化やマスキング処理を組み込むことで、セキュリティ対策やコンプライアンス対応も強化できます。
データ品質の維持やアクセス権限の統制、管理プロセスの体系化などを含むガバナンス体制の整備において、ETLは重要な役割を担います。
DX推進に向けた基盤の構築
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するうえでは、必要な時に正確なデータをすぐに活用できる基盤の構築が不可欠です。
ETLを活用し、社内の至る所に散らばっているデータを統合・整理・標準化することで、リアルタイムでの状況把握や市場変化への迅速な対応、データに基づく戦略立案が可能になります。
データドリブン経営を実現するための土台として、ETLはDX推進を支える重要な基盤技術といえるでしょう。
5.ETL導入が効果的なケース
「データが分散している」「手作業が多い」「品質にばらつきがある」といった課題を抱えている場合、ETL導入は大きな効果をもたらします。
複数のシステムにデータが分散している場合
販売管理、顧客管理、会計、人事など、部門ごとに別々のシステムを利用していると、データが部門やシステム単位で分断・孤立する「サイロ化」の状態に陥りやすくなります。
部門を横断したデータ連携が進まない状況では、社内に蓄積されたデータを十分に活用できず、業務効率の低下やDX推進の停滞を招く可能性があります。
ETLを活用し、散在するデータの収集・加工・クレンジング作業を自動化することで、作業負担を大幅に軽減できるほか、全社横断でのスムーズなデータ活用を実現できます。
レポート作成に時間がかかっている場合
Excelでの集計や加工を毎回手作業で行っていると、担当者の負担が大きいだけでなく、属人化やミスのリスクも高まります。
ETLを活用してデータ処理を自動化すれば、レポート作成の正確性とスピードを同時に向上させることが可能です。
データ形式や品質が統一されていない場合
システムごとにデータ形式や入力ルールにばらつきがある状態では、分析前の整形作業に多くの工数がかかります。
ETLで変換・クレンジングのルールをあらかじめ定義しておくことで、常に一定水準の品質を保ったデータを活用できるようになります。
データ量の増加に手作業が追い付かない場合
クラウドサービスやIoTの活用が進むにつれ、企業が扱うデータ量は年々増加しています。
データ更新の頻度が高い場合や大量のデータを扱う場合には、自動化されたデータ連携の仕組みが欠かせません。
ETLを活用すれば、大容量のデータであっても安定して変換処理を実行できるため、データ量の増加による品質低下や処理の遅れも防げます。
6.ETL導入のデメリット・注意点
ETLを導入する際の注意点としては、次の7つが挙げられます。
- データ処理やITに関する一定の知識が必要
- 導入・運用コストが発生する
- 処理内容によっては変換に時間がかかる
- リアルタイム処理には向かない場合がある
- データ量や更新方式によってはシステム負荷が高くなる
- データフォーマットの変更に対応する必要がある
- 導入前の要件整理・適切なツール選定が重要
データ処理やITに関する一定の知識が必要
近年のETLツールはノーコード・ローコード化が進んでおり、SQLやプログラミングの知識がなくても操作自体は可能です。
ただし、「どのデータをどのように加工すべきか」「どのタイミングで処理を実行すべきか」といった設計には、データベースやデータ処理に関する知識が求められます。
特に、複雑なデータ変換処理を行う場合は、ETLのワークフロー設計やデータ構造への理解も必要となるため、一定のIT知識を持つ担当者が関与する体制が望ましいでしょう。
導入・運用コストが発生する
多くのETLツールはサブスクリプション型のサービスとして提供されており、利用には月額料金が発生します。
費用はツールや利用環境によって異なりますが、場合によっては数万円から数十万円程度のコストがかかることもあります。
無料ツールも存在しますが、機能やサポート範囲に制約があることが多いため、自社の用途や扱うデータ量を踏まえて適切なツールを選定する必要があります。
処理内容によっては変換に時間がかかる
ETLでは、データ抽出・変換・格納の処理をまとめて実行するため、データ量が多い場合や変換処理が複雑な場合は、処理完了まで時間がかかることがあります。
例として、夜間バッチとして処理を実行した場合、完了が翌朝になるケースもあります。
ただし、同様の処理を手作業や個別スクリプトで行う場合と比較すると、ETLの方が効率的にデータ処理を進められるケースが多いといえます。
リアルタイム処理には向かない場合がある
ETLは、一定期間ごとにデータをまとめて取得・処理する「バッチ処理」で利用されることが多く、リアルタイムでのデータ処理には適さない場合があります。
リアルタイムでのデータ分析が求められるシステムでは、データが生成された瞬間に収集・処理・分析を行う「ストリーム処理」など、別のデータ処理方式と組み合わせて運用することも検討するとよいでしょう。
データ量や更新方式によってはシステム負荷が高くなる
ETLでは、差分データのみを更新する「増分ロード方式」や、すべてのデータを更新する「フルロード方式」など、データ更新の方法によってシステムへの負荷が大きく変わります。
特に、データ量が増加すると処理時間の長期化やサーバー負荷の増大につながるため、ETL導入時には将来的なデータ量の増加も見据えた設計を行うことが重要です。
データフォーマットの変更に対応する必要がある
ETLでは複数のシステムからデータを取得するため、データ形式やフォーマットの違いに対応する必要があります。
また、システムの仕様変更などによってデータ形式やフォーマットが変わると、ETLの処理内容を見直さなければならない場合もあります。
フォーマットの変更にも柔軟に対応できるよう、データ整理(クレンジング)やデータ変換ルールをあらかじめ準備しておくことが重要です。
導入前の要件整理・適切なツール選定が重要
ETLツールは製品ごとに特徴が異なり、
- 大量データ処理に強いもの
- クラウド連携に優れたもの
- 操作性を重視したもの
など、用途によって適したツールが変わります。
ツールによっては、PCへのインストールが必要なものや、追加機能の利用に別途コストがかかるものもあります。
導入前に要件を整理し、自社が扱うデータ特性や業務内容、運用体制を踏まえ、適切なツールを選定することが重要です。
7.ETLツールを選ぶ際のポイント
ETLツールの選定ポイントとしては、次の7つが挙げられます。
- 扱えるデータソースの種類
- 使いやすさ・操作性
- データ処理性能
- 機能の充実度
- 将来的な拡張性
- コスト(料金体系)
- サポート体制・導入実績
扱えるデータソースの種類
ETLツールを選定する際にまず確認したいのが、連携できるデータソースの種類です。
基幹システム、社内データベース、SaaS、Excel やCSVファイル、APIなど、現代の企業が扱うデータソースは多様化しており、自社で利用中のシステムと問題なく連携できるかどうかを確認する必要があります。
また、将来的に導入する可能性のあるクラウドサービスやシステムにも対応しているかを確認しておくと、後からツールを変更するリスクを抑えられます。
使いやすさ・操作性
ETLツールの中には、SQLやプログラミングなどの専門知識を必要とするものも存在します。
運用をエンジニア以外の担当者が行う可能性がある場合は、GUIベースで直感的に処理フローを構築できるノーコード型のツールを選ぶとよいでしょう。
画面設計の分かりやすさや日本語対応の有無についても、日々の運用負担を大きく左右するため、可能であればトライアル版を活用し、導入前に実際の操作性を確認しておくと安心です。
データ処理性能
ETLツールのデータ処理能力は、製品によって大きく異なります。
大量のデータを扱う場合、処理性能が十分でないとデータの抽出や変換、格納に時間がかかり、分析やレポート作成に影響が出る可能性があります。
そのため、大規模なデータを扱う場合は、並列処理(パラレル処理)や分散処理に対応しているかを確認することが重要です。
複数の処理を同時に実行できる仕組みがあれば、大量データでも効率的に処理を行いながら、安定したデータ連携を実現できます。
機能の充実度
ETLツールは、日次・週次・月次のデータ処理を自動化し、運用担当者の負担を軽減できる点が大きなメリットです。
例えば、次のような機能が充実しているかを確認しておくとよいでしょう。
- スケジュール実行
- トリガー実行(ファイル更新などをきっかけに処理を開始)
- エラー通知
- 実行ログ管理
運用時に処理フローが可視化できるかどうかも重要なポイントです。
処理内容がブラックボックス化すると、どこでどのような処理が行われているのか把握できず、トラブル発生時の原因特定が難しくなる可能性があります。
処理の流れを画面上で視覚的に確認できる仕組みがあれば、運用やトラブル対応もスムーズに進めやすくなります。
将来的な拡張性
将来的にデータ量が増加したり、システム構成に変更があった場合でも、安定した処理性能を維持できるかという「拡張性(スケーラビリティ)」も重要なポイントです。
導入当初は問題なく運用できていても、その後新しいシステムの追加やデータ連携の変更が必要になるケースは珍しくありません。
- 新しいデータ連携先を追加しやすいか
- データ変換ルールを柔軟に変更できるか
- API連携やスクリプトによる機能拡張が可能か
といった観点から、将来的な拡張にも対応できるツールかどうかを確認しておくことが重要です。
コスト(料金体系)
ETLツールには、「サブスクリプション型」「買い切り型」「従量課金型」など、さまざまな料金体系があります。
それぞれ料金の仕組みが異なるため、自社の利用状況やデータ量、運用体制に合ったものを選ぶことが重要です。
また、ツール選定の際は初期費用だけでなく、ライセンス費用やサポート費用などの運用・保守コストも含めて検討する必要があります。
長期的な運用を見据え、初期導入コスト(イニシャルコスト)と運用・保守コスト(ランニングコスト)、教育・トレーニング費などの”隠れたコスト”を合わせた「総保有コスト(TCO)」の観点から判断することが大切です。
サポート体制・導入実績
ETLツールは長期的な運用を前提とするため、ベンダーのサポート体制も重要な判断材料になります。
- 日本語サポートの有無
- 問い合わせ対応のスピード
- 導入事例の豊富さ
- ユーザーコミュニティの有無
などを確認しておくと、導入後に疑問やトラブルが生じた場合でもスムーズに対応できます。
8.代表的なETLツールの紹介
代表的なETLツールとしてよく導入・利用されているものを、3つのカテゴリーに分けて7つご紹介します。
ツールごとに特徴や得意分野が異なるため、自社のデータ環境や目的に合わせて選定することが重要です。
- クラウドプラットフォーム系ETLツール
- 国産ETLツール
- 海外ETLツール
クラウドプラットフォーム系ETLツール
各クラウドサービスに特化したETLツールで、クラウド基盤との連携に優れている点が特徴です。
AWS Glue
AWS Glueは、AWSが提供するサーバーレス型のデータ統合サービスです。
サーバーの構築や運用管理は不要であり、クラウド上でETL処理を自動化できます。
データカタログやクローラー機能により、データソースの検出やスキーマ(データ構造)の取得を自動化できるほか、Apache SparkやPythonベースのETLジョブを利用して、大量データの変換処理を実行することも可能です。
データ分析や機械学習、アプリケーション開発に向けたデータ準備を効率的に進められます。
Azure Data Factory
Azure Data Factoryは、Microsoft Azureが提供するデータ統合サービスで、クラウドとオンプレミスの両環境にあるデータを統合できます。
GUIベースでETL処理を構築でき、Microsoft製品との高い親和性を備えている点が特徴です。
Google Cloud Dataflow
Google Cloud Dataflowは、Google Cloudが提供するデータ処理サービスで、リアルタイム処理とバッチ処理の両方に対応しています。
大規模なデータ処理やリアルタイムなストリーミング処理に強い点が特徴です。
国産ETLツール
国内企業向けに特化したETLツールで、日本語サポートが充実しているほか、既存システムとの連携にも強みがあります。
TROCCO(トロッコ)
TROCCO(トロッコ)は、株式会社primeNumberが提供するクラウド型ETLツールで、直感的なUIで非エンジニアでも簡単にETL処理の設定を行うことができます。
完全にクラウドベースで設計されているため、初期のインフラ構築が不要であり、AWSやAzure、Google Cloudなどの主要クラウドサービスともスムーズに連携できます。
また、SalesforceやGoogle Analytics、Redshift、BigQueryなど、多様なデータソースやデータウェアハウスに対応しています。
国産ツールのため、日本語でのサポート体制が充実している点も特徴です。
Reckoner(レコナー)
Reckoner(レコナー)は、株式会社スリーシェイクが提供するノーコード型のクラウドETLツールです。
プログラミング不要で、データの連携や加工を簡単に行える点が特徴です。
ドラッグ&ドロップ操作だけでデータの暗号化やデータ型の統一、欠損データの補完などを設定でき、100種類以上のSaaSやデータベースと連携できます。
Google AnalyticsやBIツールとの連携にも対応しており、非エンジニアを中心とした現場主導でのデータ活用を実現できます。
海外ETLツール
世界中で広く利用されており、多様なデータソースとの連携に対応しています。
最新技術やオープンソースを採用しているツールが多い点も特徴です。
Talend(タランド)
Talend(タランド)は、GUIベースの直感的なドラッグ&ドロップ操作でETL処理を構築できるデータ統合プラットフォームです。
専門的なプログラミングの知識がなくてもデータ連携フローを作成できます。
クラウドとオンプレミスの両環境に対応しており、データ品質管理やガバナンス機能も備えています。
処理内容はJavaコードとして生成されるため、高速なデータ処理が可能です。
Fivetran(ファイブトラン)
Fivetran(ファイブトラン)は、データ連携の自動化を得意とするクラウド型ETLツールです。
多くのSaaSアプリケーションやデータベースに対応したコネクタが用意されており、設定を行うだけで自動的にデータの同期・更新を実行できます。
複雑な設定が不要で、誰でも簡単に利用を開始できる点も魅力です。
9.まとめ
いかがでしたでしょうか?
データ分析基盤の整備やデータ活用に不安を感じている企業様は、ぜひお気軽に当社コンピュータマネジメントへご相談ください。
当社では、システム企画・要件定義などの上流工程から、システム運用・保守、インフラ構築、セキュリティ対策まで、IT関連業務を幅広くサポートする「情シス支援サービスION」を展開しております。
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この記事を書いた人
Y.M(マーケティング室)
2020年に株式会社コンピュータマネジメントに新卒入社。
CPサイトのリニューアルに携わりつつ、会社としては初のブログを創設した。
現在は「情シス支援」をテーマに、月3本ペースでブログ更新を継続中。




