近年、多くの企業で「シャドーIT」が課題となっています。
「シャドーIT」とは、従業員が企業の許可を得ずに利用するITサービスやアプリケーションのことです。
クラウドサービスやチャットツールの普及により、企業が把握しきれないITサービスの利用が増加しています。
便利なツールが増えている中で、
「社員が会社の許可なくクラウドサービスを利用している」
「業務データを個人契約のツールで管理している」
といった状況に、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
シャドーITは、従業員にとって利便性が高く業務効率の向上につながる場合がある一方で、情報漏えいやウイルス感染、不正アクセスなどのセキュリティリスクを招く可能性があります。
便利な反面、その利便性の裏には見逃せないリスクも潜んでおり、企業としては見過ごせない問題と言えるでしょう。
本記事では、シャドーITの意味や発生する原因、情報漏えいなどのリスク、企業が取り組むべき対策について詳しく解説します。
シャドーITによるセキュリティリスクを防ぎ、安全なIT利用環境を実現するために、ぜひ参考にしてください。
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目次
1.シャドーITとは?意味やBYODとの違い
シャドーITは、多くの企業が抱える潜在的なセキュリティリスクの1つです。
まずはシャドーITの意味と、混同されやすい「BYOD」との違いについて確認しておきましょう。
シャドーITの定義
シャドーITとは、企業のIT部門(情報システム部門)が把握していない、または利用を承認していないデバイスやソフトウェア、クラウドサービスなどを、従業員が業務で利用している状態を指します。
「Shadow(影)」という言葉の通り、IT部門の管理や統制が及ばない状態で利用されるITサービスや機器のことを意味します。
例えば、会社で許可されていないチャットツールの利用や、個人契約のクラウドストレージでのファイル共有などが代表的な例です。
従業員に悪意があるケースは少なく、多くは「業務をより効率的に進めたい」「慣れているツールを使いたい」といった理由から利用されています。
しかし、IT部門の管理外にあるため、情報漏えいや不正アクセスなどのセキュリティリスクを高める可能性があります。
シャドーITとBYODの違い
シャドーITと混同されやすい言葉に「BYOD(Bring Your Own Device)」があります。
BYODとは、従業員が個人所有のノートPCやスマートフォンなどのデバイスを業務に利用することを指します。
シャドーITとBYODの大きな違いは、「会社の許可や管理のもとで利用されているかどうか」です。
シャドーITとBYODの違いをまとめると、以下の通りです。
| 用語 | 概要 | 会社の許可 |
|---|---|---|
| シャドーIT | 従業員が会社の許可なく無断で利用するITツールやサービス | なし |
| BYOD | 従業員が私物端末を会社の許可を得て業務利用すること | あり |
個人所有の端末を業務で利用していても、会社の許可や管理のもとで利用されていればBYODです。
一方で、会社が把握していないサービスやデバイスを利用している場合は、シャドーITに該当します。
重要なのは、端末が会社支給か私物かではなく、会社が利用を把握し管理できているかどうかです。
2.シャドーITが発生する3つの原因
シャドーITの発生には、業務を効率化したいというニーズや、働き方の変化など、さまざまな要因があります。
特に近年は、クラウドサービスの普及や働き方の多様化により、その発生リスクが高まっています。
ここでは、シャドーITが発生する主な3つの原因について解説します。
業務効率化を求める従業員のニーズ
最も一般的な原因は、従業員が日々の業務をより効率的に、そしてスムーズに進めたいと考えることです。
例えば、「大容量のファイルを社外と共有したいが、会社指定の方法は手順が複雑で時間がかかる」といった場合に、手軽な個人契約のクラウドストレージを使ってしまうケースがこれにあたります。
従業員は利便性を追求するあまり、セキュリティリスクを軽視してしまう傾向があります。
IT部門の承認プロセスへの不満
新しいツールやソフトウェアの利用をIT部門に申請しても、「承認プロセスが長く、なかなか許可が下りない」「申請自体が却下されてしまう」といった状況も、シャドーITを助長する一因です。
ビジネスの現場ではスピードが求められるため、IT部門の対応を待てずに、従業員が独断で便利なツールを導入してしまうことがあります。
テレワークやクラウドサービスの普及
働き方の多様化も、シャドーITが発生する要因の1つとなっています。
テレワークの普及により、従業員が自宅など社内ネットワーク外で業務を行う機会が増えました。
これにより、IT部門の目が届きにくくなり、従業員がどのようなツールを使っているのかを把握することが困難になっています。
また、個人でも手軽に利用開始できるクラウドサービス(SaaS)が増えたことも、シャドーITの増加に拍車をかけています。
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3.こんなツールも?シャドーITの具体例
シャドーITは、従業員が日常的に利用する身近なツールから発生するケースも少なくありません。
ここでは、代表的なシャドーITの具体例をいくつかご紹介します。
個人契約のクラウドストレージ
- 具体例:Google Drive(個人アカウント)、Dropbox、OneDriveなど
- 利用シーン:大容量ファイルの共有、社外関係者とのデータ受け渡し
個人契約のクラウドストレージは手軽に利用できる一方で、アクセス権の設定ミスなどにより、機密情報が外部へ漏えいするリスクがあります。
日常的に使うチャットツールやSNS
- 具体例:LINE、Messenger、Chatwork(個人アカウント)など
- 利用シーン:プロジェクトメンバーとの簡単な情報共有、社外との連絡
プライベートで使い慣れたツールは、コミュニケーションが迅速に行える反面、誤送信による情報漏えいや、退職者のアカウント管理ができないといったリスクを抱えています。
業務で利用されるフリーメール
- 具体例:Gmail、Yahoo!メール、comなど
- 利用シーン:社外とのメール連絡、資料の送付、会員登録や各種サービスの利用
会社のメールアドレスではなく個人のフリーメールを業務で利用すると、会社側でメールの送受信履歴を把握・管理できません。
また、退職時にメールデータを引き継げない、誤送信や不正アクセスによって機密情報が漏えいするといったリスクもあります。
無許可で導入されたSaaSやアプリ
- 具体例:プロジェクト管理ツール(Trello、Asana)、Web会議システム(Zoomの無償版)、高機能なメモアプリなど
- 利用シーン:部署やチーム単位でのタスク管理、議事録の共同編集
業務効率を上げる便利なSaaSは数多く存在しますが、IT部門が許可していないサービスは、そのサービスのセキュリティ基準が自社のポリシーを満たしているかどうかが不明です。
また、サービス提供元のセキュリティ事故によって情報漏えいが発生するリスクもあります。
4.シャドーITがもたらす4つの重大なリスク
シャドーITは業務効率化につながる一方で、情報漏えいやコンプライアンス違反など、企業にさまざまなリスクをもたらす可能性があります。
ここでは、代表的な4つのリスクについて解説します。
情報漏えい・ウイルス感染のリスク
シャドーITで利用されるツールやサービスは、企業のセキュリティポリシーの対象外です。
そのため、以下のような重大なセキュリティインシデントを引き起こす可能性があります。
セキュリティインシデントの例
- 情報漏えい
アクセス権限の管理不備や誤操作により、顧客情報や機密情報が外部に漏えいする。
- マルウェア・ウイルス感染
セキュリティ対策が不十分なフリーソフトやサービスを経由して、社内ネットワークにウイルスが侵入する。
- 不正アクセス
退職した従業員のアカウントが放置され、不正アクセスの踏み台にされる。
コンプライアンス違反のリスク
シャドーITの利用は、意図せず法令や業界の規制に違反してしまう可能性もあります。
例えば、個人情報保護法やGDPR(EU一般データ保護規則)では、データの厳格な管理が求められます。
許可されていないクラウドサービスに顧客情報を保存した場合、これらの法令に抵触する可能性があります。
万が一コンプライアンス違反が発覚した場合、企業は罰則の対象となるだけでなく、社会的な信用の低下につながる可能性があります。
- GDPR(EU一般データ保護規則)
EU(欧州連合)が定めた個人情報保護に関する法律です。
EU域内の個人データを取得・利用する企業に対して、適切な管理や保護を義務付けています。
違反した場合は高額な制裁金が科される可能性があります。
コストの把握や管理が難しくなるリスク
各部署や従業員が個別にSaaSなどを契約すると、企業全体でどのようなツールにどれだけのコストがかかっているのか把握しにくくなります。
いわゆる「野良SaaS(企業が把握していないまま利用されているクラウドサービス)」問題です。
| 問題点 | 詳細 |
|---|---|
| 費用の重複 | 部署ごとに同じような機能を持つツールを別々に契約し、無駄なコストが発生する。 |
| ライセンス管理の負担増加 | 退職者のアカウントが放置され、不要なライセンス費用を支払い続けることになる。 |
| 予算策定の困難化 | IT関連の支出を正確に把握できず、適切な予算策定が難しくなる。 |
業務継続性に支障が出るリスク
特定の従業員しか知らないツールで業務データが管理されている場合、その従業員が急に退職・休職してしまうと、業務が滞ってしまうリスクがあります。
業務データの保存場所やツールの操作方法が分からず、誰も引き継げない状態になることで、組織としての業務継続に支障をきたす可能性があります。
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5.企業が今すぐ取るべきシャドーITへの5つの対策
シャドーITのリスクを軽減するためには、単に利用を禁止するだけでなく、従業員の利便性も考慮しながら適切なルールや仕組みを整えることが重要です。
ここでは、シャドーITを防ぎながら、従業員が安心して業務ツールを利用できる環境を整えるための5つの対策を紹介します。
利用実態の把握と可視化から始める
対策の第一歩は、社内でどのようなツールが利用されているのかを正確に把握することです。
アンケート調査やヒアリング、ネットワークのアクセスログの確認などを通じて、利用されているツールやサービスの実態を明らかにしましょう。
ガイドラインの策定と周知徹底
次に、ITツールの利用に関する明確なガイドライン(ルール)を整備します。
利用を許可するツールの範囲や、新しいツールを利用したい場合の申請手順などを明確に定めておくことが重要です。
ルールを作るだけでなく、なぜそのルールが必要なのか、シャドーITがもたらすリスクとあわせて従業員に周知し、理解を深めてもらうことも重要です。
従業員へのセキュリティ教育の実施
シャドーITのリスクや、会社のセキュリティポリシーを守ることの重要性について、定期的に研修や勉強会を実施します。
従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることで、シャドーITの発生防止につながります。
また、セキュリティ教育は一度実施して終わりではなく、継続的な注意喚起も重要です。
従業員へのセキュリティ意識向上や継続的な注意喚起のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
従業員が利用しやすいツール環境の整備
従業員がシャドーITを利用する背景には、既存ツールでは業務上のニーズを十分に満たせていないケースがあります。
会社が提供するツールが多すぎたり使いにくかったりすると、従業員が独自に別のツールを利用しようとする要因にもなります。
そのため、現場の要望をヒアリングし、利便性と安全性を両立したツールを会社として正式に導入・提供することが重要です。
利用しやすい公式ツールがあれば、従業員があえてシャドーITを利用する必要はなくなります。
【事例】社内のチャットツールをTeamsに統一
実際に、ツールの整理や運用の見直しによって業務効率の向上につながるケースもあります。
当社でも以前は、Zoom、Teams、Slackなど複数のチャット・Web会議ツールを利用していました。
しかし、ツールが分散していることで情報共有やコミュニケーションが煩雑になる場面もあったため、現在はTeamsへ統一し、よりスムーズに業務を進められるよう社内体制を見直しました。
このように、現場で利用するツールを整理し、使いやすい環境を整えることもシャドーIT対策の1つです。
社員の「使いにくい」「不便だ」といった不満を減らすことで、許可されていないツールの利用を防ぎやすくなります。
IT資産管理ツールによる監視と制御
従業員への注意喚起や利用状況の確認だけでは、社内で利用されているすべてのシャドーITを把握することは簡単ではありません。
そのため、シャドーITの実態を把握し、継続的に管理するためには、IT資産管理ツールの活用が有効です。
IT資産管理ツールを利用することで、PCにインストールされているソフトウェアや利用中のクラウドサービスを一元的に確認できます。
また、許可されていないツールの利用を検知・制限することも可能です。
これにより、シャドーITの早期発見や利用抑制につながり、より安全なIT環境を維持できます。
なお、IT資産管理ツールはシャドーIT対策だけでなく、ソフトウェアやライセンスの管理、セキュリティ対策の強化にも役立ちます。
IT資産管理の必要性やツール選定のポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
6.まとめ
本記事では、シャドーITの定義から原因、リスク、具体的な対策について解説しました。
シャドーITは、単に「禁止」するだけでは解決が難しい問題です。
従業員がなぜシャドーITを利用するのか、その背景にある「業務を効率化したい」というニーズを理解し、利便性とセキュリティのバランスを取ることが重要です。
また、シャドーIT対策には、利用状況の把握やルール整備、IT資産管理、セキュリティ運用など、継続的な取り組みが欠かせません。
しかし、限られた人員で対応している企業では、こうした管理を継続することが難しいケースもあります。
「日々の業務に追われて、シャドーIT対策まで手が回らない・・・」という場合は、外部サービスを活用して担当者の負担を軽減することも選択肢の1つです。
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シャドーIT対策をはじめ、情報システム部門の運用体制や業務負担にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
R.K(マーケティング部)
2026年8月より株式会社コンピュータマネジメントに勤務。
現在はマーケティング部で、システム活用に関する支援や情報発信を担当。
本ブログでは、情シス支援やIT活用に役立つ情報を分かりやすく発信しています。





