
「Bing AIって何?」
「ChatGPTと何が違うの?」
「どうやって使えばいいの?」
昨今、OpenAI社が開発した対話型AIチャットボット「ChatGPT」が何かと話題を集めていますが、そんなChatGPTと同レベルの性能を持つAIと検索エンジン「Bing」を統合した知る人ぞ知る便利ツール、「Bing AI」をご存知でしょうか?
今回は、AIチャットツールの中でもChatGPTと同じくらい注目度の高い「Bing AI」について、その特徴やChatGPTとの違い、使いこなすためのコツなどについて詳しく解説していきます。
「Bing AIを活用してみたいけど、まずは機能の特徴やChatGPTとの違いについて詳しく知りたい!」という方はぜひご一読ください。
目次
1.Bingとは?
普段Google検索を多く利用していると、「Bing」という言葉を耳にしても「そもそもBingって何だっけ?」と困惑する場面も少なからずあるかと思いますので、最初に念のため意味を確認しておきましょう。
「Bing」とは、Microsoftが提供する検索エンジンサービスのことです。
検索エンジンとは、インターネット上にあるWebページや画像、動画などのコンテンツを検索するためのシステムを指します。Bingのほかに、GoogleやYahoo!なども検索エンジンの括りに入ります。
一方、Google ChromeやMicrosoft Edge、Safariなどは、検索エンジンではなく「ブラウザ」と呼ばれるものです。検索エンジンとブラウザの意味を混同しないように注意しましょう。

2.Bing AIとは?
Bing AIとは、検索エンジン「Bing」にAIチャット機能を搭載したツールのことです。
2023年2月にリリースされ、Microsoftの公式サイトでは「新しいBing」として紹介されています。
ChatGPTのような他のAIチャットツールと同様に、質問を入力すれば人間が書いたような自然な文章で回答が返ってくるため、情報収集やコンテンツ作成、アイデア出しなど様々な場面で役立てることができます。
3.Bing AIの特徴
Bing AIの大きな特徴の1つとして、検索エンジンである「Bing」の検索結果を根拠として最新情報に基づいたリアルタイム性の高い回答を生成できる点が挙げられます。
回答の情報源となったWebサイトのリンクもすぐに確認できるため、2021年までのデータしか学習していないChatGPTよりも、返ってくる回答の質は正確で信頼性が高いといえるでしょう。

また、ChatGPTを提供しているOpenAI社とMicrosoftはパートナー関係にあることから、Bing AIにもChatGPTと同様に「GPT-4」という高度な大規模言語モデルが使われています。
Bing AIとChatGPTは、どちらも同レベルの賢さを持つ「天才」ですが、検索エンジン「Bing」の技術により日々新しい情報をインストールし、知識のアップデートを欠かさず行っているという点から見ると、Bing AIのほうが一歩先を進んでいるといえるのかもしれません。
4.Bing AIの強み
Bing AIの強みとしては、主に以下4点が挙げられます。
・情報収集が効率的にできる
・最新情報を踏まえた情報提供に特化している
・質問の意図に沿った回答を得られやすい
・文字だけでなく画像も使ったやり取りができる
情報収集が効率的にできる
これまでのインターネット検索では、自分が知りたい情報を得るために、
1.検索キーワードを考える
2.検索を実行する
3.表示されたサイトの内容を1つ1つチェックする
4.情報をまとめる
という4つのステップが必要でした。
特に、「③表示されたサイトの内容を1つ1つチェックする」過程で手間取ることが多く、時には自分の求めている情報がサイト内に含まれておらず、再検索が必要なケースもザラにありました。
しかし、Bing AIを使えば、
1.質問文を考える
2.質問する
3.回答のソースをチェックする
という3ステップで情報収集を完了させることができます。
会話形式で質問に対する回答をピンポイントで得られることから、手動で自ら地道にWebサイトを探し回る手間は省けますし、仮に一度で自分の望む回答が得られなかったとしても、疑問に思った点をすぐにそのままBing AIへぶつけることができるため、検索キーワードを一から考え直す必要もありません。
そして、Bing AIの回答には参照元のソースがリンクとして表示されるため、出典を確認するのも簡単です。
最新情報を踏まえた情報提供に特化している
Bing AIは、Web上にある最新情報を人間の代わりにAIが検索しながら質問に対する回答をまとめてくれるため、最新のニュースや研究データについて手早く知りたい場合に持ってこいのツールといえます。
例えば、「今週話題になったニュースを5つ箇条書きで教えてください」とBing AIに質問を入力すると、回答のベースとなったWebサイトの外部リンクとともにトピック情報が一覧で表示されます。
気になるニュースがあれば、回答の中に含まれているリンクをクリックするだけでより詳細な情報を確認することができるほか、参照先のサイトで疑問に思ったことや新たに知りたいことが出てきた場合は、Bing AIに再度質問して知識をさらに深めることもできます。
質問の意図に沿った回答を得られやすい
Bing AIは、ChatGPTと同じ「GPT-4」という高度な自然言語処理技術を採用しており、ユーザーが入力した質問の意図や文脈を理解し、適切な情報を提供できる能力を持っています。
例えば、ユーザーが「急な熱中症の対処法」というキーワードを含めて質問を行った場合、Bing AIはユーザーが急な熱中症に対処する方法についての情報を求めているという意図を把握し、熱中症の症状やその対処法、緊急時の対応など、キーワードの意味や関連性を考慮した適切な情報を提供してくれます。
2~3単語程度のキーワードを駆使して情報収集を行う従来のネット検索とは異なり、Bing AIでは「文章」として質問を入力することができるため、「自分はなぜこの情報を求めているのか?」という明確な背景情報を加えることで、より自分の理想に近い回答を得られるようになります。
文字だけでなく画像も使ったやり取りができる
2023年5月、Bing AIは回答時に言葉だけでなく画像も含めてくれるようになりました。
例えば、「葛飾北斎の絵が見たい」とお願いすれば、葛飾北斎に関する簡単なテキストベースでの説明とともに、代表作である「富嶽三十六景」の画像を表示してくれます。
なお、旅行関連の質問など、画像付きの回答を見て具体的なイメージを膨らませたい場合には、質問の際に「画像付きで教えて」とあらかじめ入力しておくと確実です。

さらに、2023年7月には、Bing AIにユーザーから画像を使って質問できるようになりました。
「ビジュアルサーチ」という新機能で、ユーザーが画像を添付して質問を行うと、Bing AIが画像の内容を理解したうえで回答を返してくれます。

使い道は実に様々で、「この花は何ですか?」のように、画像の中身について詳しく知りたいものの文字だけで特徴を説明するのが大変な場合や、「この看板に書いてあることは何ですか?」のように、外国語で何て書いてあるのか分からない内容を翻訳して欲しい場合などに便利です。
5.Bing AIの課題
Bing AIの課題としては、主に以下4点が挙げられます。
・必ずしも回答内容が正確な情報とは限らない
・回答が表示されるまでに少し時間がかかる
・やり取りできる文字数や回数に上限がある
・基本的に利用できるブラウザはEdgeのみ
必ずしも回答内容が正確な情報とは限らない
Bing AIは、Bing検索を通じてインターネット上に存在する情報を参考にしながら回答を生成する仕組みですが、そこで必ずしも正確な情報が返ってくるとは限りません。
ネット上の情報はすべてが正しいわけではなく、そもそも出典元の情報が誤っている可能性も十分考えられることから、Bing AIで得られた回答はあくまでも参考程度にとどめ、回答内容が本当に正しいかどうかは人間の目でしっかりと確認する必要があるといえるでしょう。
回答が表示されるまでに少し時間がかかる
Bing AIは、Bing検索を経由したうえで質問に対する回答を行うため、回答までに数十秒程度の時間を要する場合があります。
実際、ChatGPTでは質問を入力してから回答の1文字目が表示されるまでにタイムラグはほぼありませんでしたが、Bing AIでは約10秒かかりました。
チャットの迅速なレスポンスを期待しているユーザーにとっては、このような小さなタイムラグの積み重ねが大きなストレスにつながる可能性が考えられます。
やり取りできる文字数や回数に上限がある
Bing AIでは、チャットでやり取りできる文字数や回数に上限が設けられています。

文字数に関しては、1回の質問で2,000~4,000文字(チャット開始前に選択する会話のスタイルにより異なる)までしか入力することができないため、記事内容の要約などをBing AIに依頼する際は不便さを感じるかもしれません。
また、やり取りできる回数は1つのトピックに対して30回までとなっています。(2023年8月時点)
新しくスレッドを立てることで制限回数はリセットされますが、それまでの会話の内容もきれいさっぱり消えてしまうため、質問を繰り返して回答を深く掘り下げていきたい場合は注意が必要です。
なお、回数の上限は10回⇒20回⇒30回と日を追うごとに徐々に緩和されてきていることから、今後も文字数や回数の制限はさらに緩まっていくと考えられます。
基本的に利用できるブラウザはEdgeのみ
全ユーザーが自由にBing AIを利用できるのは、今のところMicrosoft Edgeとスマホアプリ版「Bing」のみです。
Google ChromeやMozilla Firefox、Safariなど、Microsoft Edge以外のブラウザで利用できるという話もありますが、対象は一部のユーザーのみとなっています。
そのため、普段Microsoft Edge以外のブラウザを利用しているユーザーがBing AIを使うには、主要ブラウザとEdgeを同時に起動して都度行き来する必要があり、長時間作業を続けていると地味にストレスが溜まります。
6.Bing AIとChatGPTの違い
Bing AIとChatGPTは、どちらもOpenAI社の最新言語モデルである「GPT-4」を採用していますが、それぞれに特徴や違いがあります。

主な5つの違いを簡単にまとめました。
情報の鮮度
検索エンジン「Bing」と常時連携しているBing AIは、最新のデータに基づいたリアルタイム性の高い情報提供に優れています。
一方、ChatGPTは現状2021年までのデータしか学習しておらず、最新情報を含めた回答を生成することはできません。
利用料金
Bing AIは、最新言語モデルの「GPT-4」を無料で使うことができます。
対して、ChatGPTで「GPT-4」機能を使うには、月額約2,700円の有料プランに加入しなければなりません。
文字数やチャット回数の制約
Bing AIでは、文字数上限(1回あたり2,000~4,000文字まで)とチャット回数上限(1トピックあたり30回まで)が設定されています。
※文字数の上限は、チャット開始前に選択する会話のスタイルにより異なる
なお、ChatGPTにおいて文字数やチャット回数の制限は特に無いため、長文の要約・同一テーマの深掘りを行いたい場合はChatGPTのほうが適しているといえます。
回答の信頼性
Bing AIでは、生成された回答の各所に振られた番号や、メッセージ下部にあるURLをクリックすると、簡単に出典情報を確認することができます。
一方、ChatGPTの回答には情報源となったWebサイトのリンクは含まれないため、情報の信頼性を確認する手段がありません。
画像対応の有無
Bing AIは、文字ベースでやり取りを行えるのはもちろんのこと、直近のアップデートにより画像付きでの質問・回答ラリーに対応できるようになりました。
ChatGPTでは今のところ、ユーザーが画像を入力して質問したり、ChatGPT側が画像を用いて回答を返したりすることはできません。
7.Bing AIの使い方
ここでは、実際にBing AIを使う方法について解説していきます。
始め方
事前準備
Bing AIを利用するためには、前提としてMicrosoft EdgeのインストールとMicrosoftアカウントの作成が必要となります。
Microsoft Edgeのインストールは公式サイトより可能です。
Microsoftアカウントを既に保有している方はサインインを、保有していない方は新規作成を行ってください。
利用開始まで
準備が出来たら、まずはMicrosoft Bingの公式ページにアクセスしましょう。
この時に使うブラウザは何でも構いませんが、ここでは例としてGoogle Chromeからアクセスしています。
公式ページの「新しいBingの紹介」と書かれた枠内の「詳細情報」をクリックします。

中央の「Microsoft Edgeで開く」をクリックします。

アラートが表示される場合は、「Microsoft Edgeを開く」をクリックします。

Bing AIのTOPページが開きます。これでいつでもチャットを始められます。

なお、Microsoft Edgeを直接開いた場合は、上記のBing公式ページにアクセスしてAIチャットを開始する方法のほかにも、画面右上の「b」アイコンをクリックすると開くサイドパネルからチャットの利用を始めることもできます。

使い方
Bing AIのTOPページを表示したら、あとはチャット欄に任意の質問を入力するだけで利用を開始できます。
最新情報の検索や文章の校正・要約、小説の創作、多言語翻訳、画像生成など、様々な用途に活用できますので、ぜひ色々とBing AIに「お願い」をしてみてください。
なお、チャットを始める前に「より創造的に」「よりバランスよく」「より厳密に」の3種類から回答の方向性を定めることができるほか、入力フォーム左側にあるホウキマーク付きの「新しいトピック」ボタンをクリックすれば、今までの質問・回答をリセットしたまっさらな状態で会話を再スタートできます。

8.Bing AIを使いこなすコツ
ここからは、Bing AIで期待通りの的確な回答を得るために意識したい5つのポイントをご紹介します。
適切な「会話スタイル」を選択する
先述の通り、Bing AIでは「より創造的に」「よりバランスよく」「より厳密に」の3種類から会話のスタイルを選択し、最初に回答の方向性をある程度定めることができます。
なお、一度選んだスタイルを変えたい場合は、会話をすべてリセットする必要があるため注意しましょう。
各スタイルは、質問内容にもよりますが概ね次のような特徴があります。
・より創造的に:情報量が多く、比較的長めの回答
・よりバランスよく:他2スタイルの間を取ったような回答
・より厳密に:少し堅めで端的な回答



どのスタイルを選ぶかは個人の好みにもよりますが、基本的には「よりバランスよく」を選択しておくのが無難です。
そして、ブログ記事などのクリエイティブなコンテンツ生成を行いたい場合は「より創造的に」、正確なデータに基づく回答が欲しい場合は「より厳密に」といったように、目的に応じて他スタイルを選び直すのが賢い使い方といえるでしょう。
会話内容を定期的にリセットする
Bing AIで思い通りの回答が得られない場合、そのまま質問を繰り返しても改善しないことがほとんどです。
そんな時は、「新しいトピック」を開いて一度会話をリセットしてみましょう。
会話のスタイルを変更してチャット内容をクリアしてもOKです。
今までのやり取りとは関係のない質問を続けざまに入力しても、Bing AIから質問の趣旨に合わない的外れな回答が返ってくることが多いため、回答内容に違和感を覚えたらすぐに「新しいトピック」をクリックし、チャットを最初からやり直すと良いです。

具体的な質問をする
Bing AIの回答のクオリティを高めるには、回答の対象を限定したり、その質問をするに至った背景情報を入れたりして、あいまいな質問を極力避けることが重要です。
例えば、「東北地方でおすすめの観光地を教えて」と言うよりも、「8月のお盆休みに、子ども2人の4人家族で、東京から1泊2日の日程で東北地方を旅行したいと考えています。プロのツアープランナーとして、おすすめの旅行プランを3つ考えてください」と質問するほうが、回答の精度はより高まります。


なお、Bing AIにはChatGPTと同じ「GPT-4」が使われており、テキスト回答の生成精度に両者の間でそれほど大きな差は無いと予想されます。
したがって、ChatGPTで回答の精度を高めるためのコツがBing AIでも同様に通用すると考えられますので、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
画像を使って質問する
先述の通り、Bing AIは直近のアップデートで画像付きの質問にも対応できるようになりました。
以下のように、画像と質問を組み合わせることでテキストだけの質問よりも多くの具体的な情報を伝えられ、より高度でユニークな回答を得ることができますので、ぜひ画像を利用した質問に挑戦してみてください。
・家に残っている食材を写した画像を添付して夕食の献立を考えてもらう
・初めて見る花の写真を添付して名前や生態、花言葉などを教えてもらう
・見たことはあるけど名前が思い出せない雲の写真を添付して疑問を解消
・外国語で何て書いてあるのか分からない看板の写真を添付して翻訳を依頼

サイドパネルの機能を上手く活用する
Bing AIでは、Microsoft Edgeの画面右上にある「b」のアイコンをクリックすると開くサイドパネルからもチャットを始めることができます。
Bing AIチャットと対話をしながら、同時並行で回答のソースとなったWebサイトをチェックしたい場合などに便利です。
画面右側に開くサイドパネルからは、チャットのほかにもWebサイトの分析やメール文面の下書き生成など、様々な機能を活用できます。
「分析情報」:Webサイトを分析する
「分析情報」機能は、Webサイトの信頼性確認に便利です。
分析したいWebページをあらかじめ開いておき、サイドパネルの中にある[分析情報]をクリックすると、サイトの評価やアクセス数、関連記事などの情報を確認できます。

「作成」:文章の下書きを作成する
[作成]タブからは、どのような内容の文章を書きたいかについて簡単に記入した後、文章のトーン・形式・長さをそれぞれ選択して[下書きの生成]をクリックするだけで、下書きとしてすぐに使える自然な文章が出来上がります。


9.まとめ -目的に応じてBing AIとChatGPTを使い分けよう
いかがでしたでしょうか?
今回は、Bing AIの特徴やChatGPTとの違い、使い方のコツについてご紹介しました。
Bing AIとChatGPTはどちらも得意分野がそれぞれ異なりますので、目的に応じて使い分けて、自分に合ったベストな活用法を模索してみてください。
ただし、Bing AIもChatGPTと同様に必ずしも正確な情報が返ってくるとは限らないため、最低限回答のソースとなったWebサイトの確認は怠らないように心がけましょう。
なお、「IT人材が不足していて、Bing AIの活用方法がよく分からない・・・」とお悩みの企業様向けに、当社では情シス支援サービス「ION」を行っております。
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この記事を書いた人
Y.M(マーケティング室)
2020年に株式会社コンピュータマネジメントに新卒入社。
CPサイトのリニューアルに携わりつつ、会社としては初のブログを創設した。
現在は「情シス支援」をテーマに、月3本ペースでブログ更新を継続中。