【Wordひな形付き】NDA(秘密保持契約)とは?締結する目的や書き方のポイントを解説!

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他の企業と新しく取引を開始する時など、自社の経営情報や技術情報、顧客情報といった機密性の高い情報を他社に開示する必要がある場合に、NDA(秘密保持契約)を締結することがあります。

 

NDA(秘密保持契約)は、ビジネスシーンにおいてよく見かける契約書の1つで、普段なんとなく取り交わしがちな契約ではありますが、自社の大切な秘密情報を第三者への漏えいや不正利用から守るために欠かせないものです。

 

そこで今回は、NDA(秘密保持契約)の概要やメリット、締結する際のチェックポイントなどを解説するとともに、自社に合ったNDA(秘密保持契約)の雛形をまだ作成していない企業向けに、具体的な例文サンプルもご紹介します。

・NDA(秘密保持契約)を締結するとどんな良いことがある?

・NDA(秘密保持契約)を作成したいが、書き方がよく分からない

・NDA(秘密保持契約)で違反があった場合の対処方法を知りたい

・・・という方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

なお、本記事の内容と連動したNDA(秘密保持契約書)のWordサンプルもダウンロードいただけますので、ぜひ雛形としてご活用ください。

目次

1.NDA(秘密保持契約)とは?

NDA(秘密保持契約)とは、相手方に開示する自社の秘密情報(=経営情報・技術情報・顧客情報など)について、本来の用途以外で使うことや、第三者への開示を制限したい場合に締結する契約です。

英語で「Non-Disclosure Agreement」と言い、その頭文字を取って「NDA」と呼ばれます。「機密保持契約」や「CA(Confidentiality Agreement)」と表現される場合もありますが、意味としてはほぼ同じです。

 

ビジネスシーンにおいて、機密性が非常に高く、万が一流出すると企業の存続にも悪影響を及ぼしかねない自社の秘密情報を、商談や取引などで相手方へ開示する必要がある場合に、情報漏えいや不正利用を防ぐ目的で締結します。

 

なお、当事者のうちどちらか片方だけが秘密情報を開示する場合は、情報の受け取り手だけに秘密保持義務を課す「片務契約」を、双方とも秘密情報を開示する場合は、双方に秘密保持義務を課す「双務契約」を締結することが一般的です。

2.NDA(秘密保持契約)を締結する目的

企業がNDA(秘密保持契約)を締結する理由としては、主に次のようなものがあります。

  • 情報の漏えい・不正利用を防ぐため
  • 特許申請のため
  • 不正競争防止のため

情報の漏えい・不正利用を防ぐため

NDA(秘密保持契約)が必要な最大の理由は、開示した自社の大切な秘密情報を勝手に外部へ流出されたり、本来の目的以外に悪用されたりするリスクを最小限に抑えるためです。

 

M&Aや業務提携、共同研究など、他社と新たな取引を検討するにあたっては、自社の秘密情報を相手方へ開示・共有する機会が数多くありますが、この時NDA(秘密保持契約)を結んでいないと、相手は開示された秘密情報をいくらでも好き勝手に使えることになります。

 

NDA(秘密保持契約)によって情報の利用目的・取り扱いルール・罰則などを明確に定め、お互いに秘密保持義務を課すことで、情報漏えいや不正利用を防ぐ効果があるほか、万が一流出事故のような不祥事が発生した場合でも、損害賠償請求などの法的手段を取りやすくなります。

特許申請のため

自社の秘密情報について特許出願を予定している場合は、相手方に情報を開示する前にNDA(秘密保持契約)を締結する必要があります。

 

特許法第29条第1項第1号によると、「特許出願前に日本国内又は外国において公然と知られた発明」については、特許を取得することができないと定められています。

このことから、先にNDA(秘密保持契約)を締結せずに特許取得予定の秘密情報を相手方に開示してしまうと、その情報は「公然と知られた発明」に該当するとみなされ、特許として認められなくなる恐れがあるので、注意が必要です。

不正競争防止のため

NDA(秘密保持契約)は、不正競争防止法に定められる「不正競争」を防ぐためにも役立ちます。

 

「不正競争」の例としては、自社で開発中の商品・サービス情報を第三者が不正に入手した後、その情報を利用して自社よりも先に類似商品・サービスを公表したことで、市場競争上の不利益を被った場合(=営業秘密の侵害)などが該当します。

もしこのような侵害を受けた場合は、不正競争防止法違反で相手方へ損害賠償や行為の差止請求を行うことができます。

 

ただし、相手方とNDA(秘密保持契約)を締結していなかった場合、開示された情報が「秘密」として管理されていないとみなされ、損害賠償や差止の請求ができなくなってしまう可能性があります。

NDA(秘密保持契約)を締結することで初めて、秘密情報は客観的に「秘密情報」だという根拠になり得るのです。

3.NDA(秘密保持契約)を締結するタイミング

NDA(秘密保持契約)を締結するタイミングとしては、自社の秘密情報を相手方へ開示する「前」が一般的です。

事前にNDA(秘密保持契約)を締結しておくことで、開示された秘密情報の漏えいや不正利用のリスクを心配することなく、安心して情報を相手方に渡すことができます。

 

NDA(秘密保持契約)の締結が完了するまでは、自社の秘密情報を相手方へ提供しないように徹底しましょう。

契約締結前に秘密情報が開示された場合は?

もしNDA(秘密保持契約)の締結前に秘密情報を開示してしまった場合や、NDA(秘密保持契約)の締結を失念していた場合には、可能な限り速やかに相手方へNDA(秘密保持契約)の締結を申し入れましょう。

 

原則として、NDA(秘密保持契約)の効力は契約締結「後」から発生するため、締結「前」に開示された情報も秘密情報として取り扱うためには、「契約締結日にかかわらず、本契約はxxxx年xx月xx日に遡って適用する」という文言を契約書の中に記載する必要があります。

4.NDA(秘密保持契約)の締結が必要になるケース

NDA(秘密保持契約)の締結が必要となる具体的な場面としては、主に次のようなケースが考えられます。

  • 具体的な商談・打ち合わせを行うとき
  • 新規で取引を開始するとき
  • 他社や個人事業主に業務を委託するとき
  • 業務提携や資本提携、M&Aを検討するとき
  • 他社と共同で研究・開発を行うとき
  • 従業員を雇用するとき

開示が想定される秘密情報:

自社の経営情報・財務情報・顧客情報・技術情報・新商品情報・ノウハウなど

開示した秘密情報が第三者へ漏えいしたり、不正に目的外利用されたりして、企業の存続が危ぶまれるような大損害を被らないようにするためにも、自社にとって重要な秘密情報を開示する際は、必ずNDA(秘密保持契約)を締結しましょう。

5.NDA(秘密保持契約)を締結するメリット

NDA(秘密保持契約)締結には、次のような3つのメリットがあります。

  • 秘密情報の流出を防ぐ抑止力になる
  • 情報漏えいがあった場合に損害賠償を請求できる
  • 不正競争防止法によって守られない秘密情報も保護できる

秘密情報の流出を防ぐ抑止力になる

NDA(秘密保持契約)では、「開示された秘密情報の秘密保持義務」「目的外使用の禁止」「取引終了時における秘密情報の返還義務」など、契約当事者が遵守すべき事項が具体的に定められています。

これらの規定は、秘密情報の流出防止に向けて契約当事者の意識をより一層高める効果があり、秘密情報の漏えいや不正利用のリスクを大幅に低減させることができます。

 

また、NDA(秘密保持契約)には通常、債務不履行(=契約義務を果たさないこと)による損害賠償請求権に関する条項も盛り込まれることから、「契約に違反したら損害賠償を請求される可能性がある」という意識が抑止力として働くことで、秘密情報の無用な流出を防ぐ効果も期待できます。

情報漏えいがあった場合に損害賠償を請求できる

NDA(秘密保持契約)を締結していれば、万が一秘密情報の流出などが起こった場合に、相手方の契約違反を根拠とした損害賠償を請求できます。

 

さらに、契約書の中で差止請求権の行使に関する条項も規定しておくと、情報漏えいが生じた場合やその可能性が見込まれる場合に、予防的に行為の差止請求を行って被害を最小限に食い止めることができます。

 

秘密情報の漏えいによって生じる金銭的損害は、時として莫大な金額にのぼることがあるため、NDA(秘密保持契約)を締結して相手方に損害賠償や行為の差止を請求できるように備えておくことは、リスクヘッジの意味でも非常に重要です。

不正競争防止法によって守られない秘密情報も保護できる

NDA(秘密保持契約)では、どの情報を目的外での使用や第三者への勝手な開示・漏えいを禁じる「秘密情報」とみなすか、その範囲を明確に定義することができます。

 

これにより、不正競争防止法によって保護される「営業秘密」の3要件には当てはまらない情報についても、NDA(秘密保持契約)で広範囲に秘密保持義務の対象とすることで、より多くの秘密情報を流出や悪用のリスクから守ることができます。

不正競争防止法で定められている「営業秘密」の3要件

  • 秘密として管理されていること(秘密管理性)
  • 事業活動にとって有用な技術上、営業上の情報であること(有用性)
  • 公然と知られていないこと(非公知性)

6.NDA(秘密保持契約)と個人情報保護法の関連

個人情報保護法では、個人情報取扱事業者(=個人情報を事業活動のために利用しているあらゆる個人や会社等)に対して、次のような義務を課しています。

  • 取り扱う個人データを安全に管理するために、必要かつ適切な措置を講ずる義務
  • 従業員や委託先などに対して、必要かつ適切な監督をする義務

相手方に開示する秘密情報の中に個人情報が含まれる場合は、NDA(秘密保持契約)を締結しておかないと、これらの義務違反となってしまう可能性があります。

 

法令遵守のためにも、開示された個人情報の管理・取り扱い方法などに関する条項を組み込んだうえで、NDA(秘密保持契約)を締結することが求められます。

7.NDA(秘密保持契約)に記載すべき項目

NDA(秘密保持契約)の作成にあたり、一般的に記載すべきとされる項目は次の通りです。

  • 契約締結の目的
  • 秘密情報の定義・例外
  • 秘密保持義務
  • 秘密情報の開示を例外的に認める場合
  • 目的外使用の禁止
  • 複製(コピー)の制限
  • 秘密情報の返還・廃棄
  • 漏えい等に関する措置
  • 損害賠償請求
  • 有効期間・存続条項

契約締結の目的

契約書の前文などに、どのような目的でNDA(秘密保持契約)を締結するのか明記します。

目的を明確にしておくことで、秘密情報の目的外での利用禁止にもつながります。

株式会社◯◯◯(以下「甲」という。)と株式会社×××(以下「乙」という。)とは、△△△について検討するにあたり(以下「本取引」という。)、甲乙間で相互に開示する秘密情報の取扱いについて、以下の通り秘密保持契約(以下「本契約」という。)を締結する。なお、本契約の当事者のうち、秘密情報を開示する者を「開示者」といい、秘密情報の開示を受ける者を「受領者」という。

目的の例:

・新規取引の検討にかかる各種情報の授受のため、・・・
・業務委託の可否を検討するため、・・・
・業務提携の可能性を検討するにあたり、・・・
・甲が乙を買収するM&A取引を検討するにあたり、・・・

秘密情報の定義・例外

相手方に提供する情報のうち、どこからどこまでを第三者に対する開示・漏えい禁止等の対象とする「秘密情報」に含めるか、その範囲を定義します。

本契約における「秘密情報」とは、本取引のために開示者が受領者に対して開示し、かつ開示の際に秘密である旨を明示した一切の情報(文書、電子ファイル、口頭、その他の媒体の如何を問わない。)をいう。

また、一般的な情報や既知の情報など、例外として秘密情報に該当しないとされる情報についても定めます。

2. 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する情報については、秘密情報に該当しないものとする。

(1) 開示された時点で受領者が既に保有していた情報
(2) 開示された時点で既に公知であった情報
(3) 開示された後に受領者の責によらず公知となった情報
(4) 正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく適法に入手した情報
(5) 開示された秘密情報に関係なく受領者が独自に開発した情報

秘密保持義務

秘密情報を受け取った側が「どういった内容の義務を負うのか」を明記します。

NDA(秘密保持契約)の中核となる規定です。

受領者は、本契約の趣旨に則り、秘密情報を善良なる管理者の注意をもって厳重に管理し、事前に開示者の書面による承諾を得ることなく、秘密情報を第三者に開示又は漏えいしてはならない。

秘密情報の開示を例外的に認める場合

通常、提供された秘密情報を相手方の承諾なしに無断で第三者に開示する行為は、秘密保持義務の規定により原則として禁止されます。

 

ただし、相手方の承諾を得ないでどうしても開示せざるを得ない場合(2.)や、開示のたびに承諾を得るのが煩雑に過ぎる場合(3.および 4.)には、必要最小限の範囲に限って例外的に秘密情報の開示を認めることがあります。

2. 前項の規定にかかわらず、受領者は、法令による場合、又は裁判所その他の公的機関による命令、要請等に基づく場合には、当該命令等に従うために必要な限度において、秘密情報を開示することができる。この場合、受領者は、当該命令等を受けた旨を遅滞なく開示者に対して通知するものとする。

3. 受領者は、自己の役員および従業員のうち、本取引のために秘密情報の開示を受けることが必要な者に対し、本取引のために必要最小限の範囲内でのみ、秘密情報を開示することができる。

4. 受領者は、弁護士、公認会計士、税理士等の法令上の守秘義務を負う専門家に対して、本取引のために必要最小限の範囲内でのみ、秘密情報を開示することができる。

5. 受領者が前2項の規定に基づき、又は開示者による事前の書面の承諾を得て、第三者に秘密情報を開示する場合、受領者は本契約に定める秘密保持義務と同等の秘密保持義務を当該第三者に遵守させるものとし、かつ、当該第三者の行為について全ての責任を負うものとする。

目的外使用の禁止

契約上で定めた目的とは無関係の目的に秘密情報を使用することがないよう明記します。

受領者は、秘密情報を本取引の目的のためにのみ使用し、その他いかなる目的のためにも使用してはならない。

複製(コピー)の制限

秘密情報が含まれる資料について、複製(コピー)を認めるか、あるいは認めないかを明記します。

 

複製(コピー)を認める場合は、複製物についても秘密情報として扱い、原本と同等の管理を行う旨を定めておくと、漏えいや不正利用のリスクを抑えることができます。

受領者は、事前に開示者の書面による承諾を得ることなく、秘密情報の全部又は一部の複製、複写および改変を行ってはならない。ただし、開示者の事前の書面による承諾を得て、秘密情報の全部又は一部を複製、複写および改変する場合には、本取引の目的のために必要最小限の範囲内に限って行うものとし、複製、複写および改変したものについても秘密情報として取り扱い、原本と同等の保管・管理を行うものとする。

秘密情報の返還・廃棄

契約終了に伴い秘密情報が不要になった場合や、情報を開示した側から一定の要請があった場合は、速やかに秘密情報を返還・破棄してもらうよう明記します。

 

なお、秘密情報を相手方に廃棄してもらう場合は、確実に廃棄されたことを確認するための証明書(=廃棄証明書)を提出するよう求める場合もあります。

受領者は、本契約が終了したとき又は開示者から要請があったときは、本契約に基づき開示者から開示を受けた一切の秘密情報(秘密情報を記載又は記録した書面および電磁的記録並びにその複製物、複写物および改変物を含む)を速やかに開示者に返還するか、開示者の指示する方法で完全に破棄又は消去するものとし、その旨の証明書又はそれに準ずる書面にて開示者に報告するものとする。

2. 前項の規定にかかわらず、法令で保管義務等の定めのある文書等については、当該法令の定めに従うものとする。

漏えい等に関する措置

万が一、秘密情報を受領した側の不手際により漏えい事故等が発生した、あるいはその発生が疑われる場合に、どのような対応を取るのかを明確にします。

受領者は、秘密情報の漏えい、滅失又はき損等(以下「漏えい等」という。)の事実が発生したこと、又はこれらの事実が発生するおそれがあることを知ったときは、直ちに開示者に報告するとともに、開示者の指示に従うものとする。

2. 受領者は、自己の責めに帰すべき事由によって秘密情報が漏えい等した場合、直ちに事実関係(漏えい等した秘密情報の内容、発生した原因、被害の状況等を含むが、これらに限らない)の調査、原状回復および再発防止に必要な措置を講じなければならない。

損害賠償請求

NDA(秘密保持契約)の条項に違反した場合に、どのようなペナルティが発生するかを明記します。

 

具体的には、契約違反により秘密情報の漏えい事故等が発生してしまった場合に、相手方に対して損害賠償を請求できる旨を定めます。

受領者は、本契約に定める事項に違反したことにより開示者に損害を与えたときは、開示者に対し、直接かつ現実に生じた通常の損害(間接損害、特別損害および逸失利益を除く)を賠償しなければならない。

有効期間・存続条項

NDA(秘密保持契約)の規定をいつまで有効とするのか(=有効期間)、契約終了後も引き続き効力を持続させたい条項は何か(=存続条項)を明記します。

※「存続条項」は「残存条項」とも言われる

本契約の有効期間は、締結日から〇年間とする。

2. 前項の規定にかかわらず、本契約の終了後においても、第〇条(×××)、第〇条(△△△)……の規定は、本契約の終了日から〇年間有効に存続するものとする。

存続条項(残存条項)として定められることが多いもの:

・秘密保持義務
・目的外使用の禁止
・複製(コピー)の制限
・秘密情報の返還・廃棄
・損害賠償
・存続条項
・合意管轄 など

8.NDA(秘密保持契約)を締結する際のチェックポイント

NDA(秘密保持契約)を締結する際に注意したい5つのチェックポイントを確認していきましょう。

「契約の目的」は明確か?

まずは、何のためにNDA(秘密保持契約)を締結するのか、その目的を明確にしておくことが重要です。

開示された秘密情報を何のために使うのか、どの範囲までなら使用してもよいのか、利用目的を具体的に記載しておくことで、契約の効力が及ぶ範囲を明らかにできるのと同時に、万が一秘密情報の目的外利用が発覚した際にも責任を追及しやすくなります。

 

なお、利用目的が狭いまたは細かすぎると、利用上支障が生じる恐れがあり、逆に広いまたは抽象的すぎると、相手方に目的外利用を主張しにくくなるデメリットがあります。

秘密情報の利用目的は、取引の目的に沿って適切な範囲で具体的に定めることが肝要です。

「秘密情報の定義」は明確か?

具体的にどのような情報が秘密情報にあたるのか、その範囲や定義を明確に定めておくことも非常に重要です。

「秘密情報」がそもそも何を指すのか明確になっていなければ、万が一情報漏えいが起こったとしても、契約違反として相手方に責任を問うことができません。

 

開示された情報すべてが対象となるのか、開示者が秘密であると指定したものに限るのか、書面だけでなく口頭の情報も含むのか、秘密情報として取り扱う範囲を明確に定義しておきましょう。

「義務違反した場合の措置」は明確か?

もし相手方が契約内容に違反した場合、どのような措置を取るのか明確にしておくことも重要です。

例として、情報漏えい事故が起こった際の報告義務や損害賠償請求に関する取り決め、秘密情報の不正利用における差止請求の可否に関する規定などが挙げられます。

 

契約違反を起こした場合の措置をあらかじめ提示しておくことで、情報漏えいや目的外利用といった違反行為に対する大きな抑止力となり、両当事者間のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。

「秘密保持期間」は明確か?

NDA(秘密保持契約)上に定める秘密保持義務をいつまで負う必要があるのか、適切な有効期間を設定することも重要です。

有効期間の定めがないと、相手方にいつまでも秘密情報を守るための対策を強いることになり、負担が大きくなりすぎて現実的とは言えないからです。

 

秘密保持義務の有効期間は、秘密情報の内容・性質や会社の方針によってさまざまですが、一般的には1~5年の有期で定められることが多くなっています。

ただし、個人情報や顧客情報など、取り扱う秘密情報の種類によっては、秘密保持期間を無期限とする場合もあります。

「契約終了後の対応」は明確か?

NDA(秘密保持契約)では、契約終了後の秘密情報の取り扱いについても明確にしておくことが重要です。

 

契約が終了した際には、これまでに先方へ開示した秘密情報を速やかに返還もしくは破棄してもらうように定めておくことで、契約期間終了後の情報漏えいや不正利用のリスクを大幅に低減することができます。

9.NDA(秘密保持契約)を締結する際の流れ

NDA(秘密保持契約)を締結するまでの基本的な流れをご紹介します。

STEP1:ひな形をもとにNDAのドラフトを作成

NDA(秘密保持契約)を締結する際は、まず自社と相手方の双方で契約内容の協議を行ったうえで、どちらが契約書を作成するのかを明確にします。

決まりは特にありませんが、一般的には秘密情報を開示する側が作るのが通例となっています。

 

なお、契約書を作成する場合は、あらかじめ自社に合ったNDA(秘密保持契約)のひな形を用意しておくと便利です。

自社のひな形には自社にとってベストな条件が凝縮されており、契約交渉を自社に有利な形で進めることができるためです。

STEP2:NDAの内容を確認・交渉

NDA(秘密保持契約)のドラフトを作成したら、相手方に提示し内容を確認してもらいましょう。相手方から修正の希望があった際は適宜協議を行い、契約内容を調整します。

 

他方、相手方からNDA(秘密保持契約)のドラフトを提示された場合は、自社にとって不利益な条項が無いかどうか慎重に確認しましょう。

もし相手方に一方的に有利な内容が含まれていた場合は、修正案を作成して相手方に受け入れてもらえるように交渉を行います。

STEP3:双方合意のうえ契約書に署名捺印

ドラフトの確認・修正を経て、最終的に双方の合意に至った段階で契約書に署名捺印を行います。

 

二者間での契約の場合、通常は原本を2通作成し、各代表者が署名捺印を行った後は、自社と相手方でそれぞれ1通ずつ原本を保管します。

10.NDA(秘密保持契約)で違反があった場合の対処方法

もしNDA(秘密保持契約)に違反する行為が確認された場合、どのような対処法が考えられるか見ていきましょう。

基本的には相手方に対して損害賠償を請求できる

NDA(秘密保持契約)の契約違反により自社に損害が発生した場合は、相手方に損害賠償を請求することができます。

 

この時に請求できる損害賠償の範囲は、原則として民法416条で定められている内容の通りですが、NDA(秘密保持契約)上で損害賠償に関する規定を詳細に盛り込んでおけば、民法416条が定める損害賠償の範囲よりもさらに請求できる範囲を広げたり、逆に制限したりすることができます。

損害額の立証が極めて困難な点に注意

一般的に、民事訴訟の提起により損害賠償を請求する場合は、原告側(=訴訟を提起した側)の方で損害額の立証を行う必要があるとされています。

 

しかし、NDA(秘密保持契約)において秘密保持義務違反を理由に損害賠償を請求するとなると、その損害額の算定が非常に困難であるという問題があります。

NDA(秘密保持契約)で損害額の立証が困難な理由

  • 秘密情報が持つ価値の評価・判定が難しい
  • 秘密情報の漏えいにより企業に生じた損害額の計算が困難である
  • 「秘密情報の漏えいが原因で損害が発生した」という相当因果関係の立証が困難である

損害額の立証が不要になる裏ワザ=「賠償額の予定」

民法420条1項によると、契約違反時に相手方へ賠償する金額をあらかじめ取り決めておけば、現実に発生した損害額に関わらず、予定していた賠償額を支払わせることができると定められています(=賠償額の予定)

 

これにより、実際に生じた損害額の立証が極めて困難とされるNDA(秘密保持契約)において、秘密保持義務違反があった際の賠償額を事前に定めておくことで、損害額の算定や因果関係の証明をわざわざ行わなくても、予定された賠償額をスムーズに得ることができます。

 

この時、実際に発生した損害額が、あらかじめ定めていた賠償額よりも高額となってしまった場合には、その差額分は請求できなくなる点に注意が必要です。

(※超えた差額分も賠償請求できる旨をNDA(秘密保持契約)で別途定めている場合はその限りでない)

11.NDA(秘密保持契約)のよくあるQ&A

最後に、NDA(秘密保持契約)に関するよくある疑問についてご紹介します。

収入印紙は必要か?

NDA(秘密保持契約)は、印紙税法上で定められている課税文書には該当しないため、収入印紙の貼付は不要です。

電子契約でもOKか?

NDA(秘密保持契約)は、書面による契約締結に限定されず、昨今導入する企業が増えている電子契約でも締結できます。

 

電子契約とは、電子署名を施した電子ファイルをインターネット上で交換し、企業が保有するサーバーやクラウドストレージに保存しておく契約方式のことです。

署名・押印の代わりに、電子契約システムが提供する「電子署名」と「タイムスタンプ」を用いることで、紙の契約書と同じ効力を発揮します。

 

「契約締結までのスピードが早い」「管理がラク」「相手とのやり取りが簡単」など、紙の契約書と比べてさまざまなメリットがあるのが特徴です。

「割印」・「契印」とは?

「割印」は、2通以上の独立した契約書を作成する時に、それらの文書が関連していることを示す押印方法です。

「原本と写し」「自社(原本)と相手方(原本)」のように、対になる契約書がある場合に、関連性のある証拠として両方の契約書にまたがるように押印します。

 

一方「契印」は、契約書が2枚以上に及ぶ場合に、すべてのページがひと続きの契約書であることを証明するために使われる押印方法です。

すべてのページの見開きにまたがって押印するか、袋とじ製本にして製本テープと契約書にまたがった箇所に押印し、ページの追加や差し替えといった不正を防ぎます。

使用する印鑑は「実印」が望ましい?

「実印」とは、市区町村や銀行に登録し、公的に認められたハンコのことです。

 

重要な契約であれば、法的に十分な効力を持っている「実印」による押印が望ましいですが、重要性に乏しいものであれば、実印以外の「認印」でも問題はありません。

12.まとめ -NDA(秘密保持契約書)のWord雛形ダウンロードはこちらから

いかがでしたでしょうか?

冒頭でもお伝えした通り、今回は「自社専用のNDA(秘密保持契約書)の雛形をまだ作成していない」あるいは「NDA(秘密保持契約書)の書き方が分からない」という方に向けて、本記事の内容と連動したNDA(秘密保持契約書)のWordサンプルをご用意しました。

 

自社の状況に合わせて適宜カスタマイズしていただき、NDA(秘密保持契約書)の作成にお役立ていただければ幸いです。

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この記事を書いた人

Y.M(マーケティング室)

2020年に株式会社コンピュータマネジメントに新卒入社。
CPサイトのリニューアルに携わりつつ、会社としては初のブログを創設した。
現在は「情シス支援」をテーマに、月3本ペースでブログ更新を継続中。