最終更新日:2026年6月29日
近年、サイバー攻撃はますます巧妙化・高度化しており、従来のセキュリティ対策だけでは侵入を防ぎきれないケースが増えています。
特に、長期間にわたって組織内に潜伏し、機密情報の窃取やシステム侵害を狙う標的型攻撃への対策は、多くの企業にとって重要な課題となっています。
こうした脅威に対応する手法として注目されているのが、「脅威ハンティング(Threat Hunting)」です。
攻撃者がすでに内部に潜んでいる可能性を前提に、セキュリティ製品のアラートを待つことなく、自ら「能動的に」潜在的な脅威を探し出します。
今回は、脅威ハンティングの必要性をはじめ、得られるメリット、代表的な手法、具体的な進め方、必要なスキル・ツールについて分かりやすく解説します。
- 脅威ハンティングに興味がある
- 高度なサイバー攻撃への備えを強化したい
とお考えのセキュリティ担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
「入口対策」(侵入を防ぐ)「内部対策」(被害拡大を防ぐ)「出口対策」(漏えいを防ぐ)
「多層防御」によるセキュリティ強化を実現します
現代のサイバー攻撃は巧妙化・高度化しており、すべての攻撃を100%防ぐことは困難です。
企業には、「入口・内部・出口」という3つの領域で複数のセキュリティ対策を組み合わせ、被害を最小限に抑える『多層防御』の考え方が求められています。
当社では、この多層防御の考え方に基づき、以下3つのアプローチでお客様のセキュリティ対策をご支援します。
- 脆弱性管理
(入口・内部対策)
- 脅威ハンティング
(内部対策)
- 情報漏えい対策
(出口対策)
目次
1.脅威ハンティングとは?
脅威ハンティング(Threat Hunting)とは、「攻撃者がすでに社内ネットワークやシステムへ侵入しているかもしれない」という前提のもと、不正な活動の兆候を能動的に探し出すセキュリティ活動のことです。
従来のセキュリティ対策は、不正アクセスやマルウェアの侵入が検知されてから対応する「受け身」の運用が中心でした。
しかし、近年のサイバー攻撃は高度化しており、既存のセキュリティ製品をすり抜けて侵入し、長期間にわたって潜伏するケースも少なくありません。
そこで注目されているのが脅威ハンティングです。
セキュリティ担当者がログや端末の挙動を分析し、不審な痕跡を自ら積極的に探し出すことで、従来の手法では見逃されがちな未知の脅威を早期に発見し、被害の拡大を防ぎます。
潜在的な脅威を発見するプロアクティブ(能動的)な活動
脅威ハンティングの最大の特徴は、「異常が検知されてから初めて対応する」のではなく、「異常が隠れていないか自ら積極的に探しに行く」点にあります。
例えるなら、防犯カメラや警報装置のアラート通知を待たずに、自ら建物内を巡回して異常がないかを点検するようなものです。
脅威ハンティングでは、
- 通常とは異なる時間帯のアクセスはないか
- 不審なプログラムが実行されていないか
- 社外への大量データ送信が行われていないか
といった観点からログを深掘り分析し、攻撃者がすでに内部に潜伏している可能性を前提として、不審な痕跡を徹底的に洗い出します。
こうしたプロアクティブ(能動的)な調査を行うことで、従来のセキュリティ製品では検知が難しい高度な攻撃を早期に発見し、被害の拡大を防ぐことができます。
従来のセキュリティ対策との根本的な違い
脅威ハンティングは、ファイアウォールやアンチウイルスソフトなど、従来型のセキュリティ対策とは考え方が大きく異なります。
従来のセキュリティ対策は、あらかじめ登録された既知の脅威パターンをもとに、不正アクセスやマルウェアの侵入を未然に「防ぐ」ことを重視します。
一方、脅威ハンティングは、「攻撃が既存の防御システムをすり抜け、すでに内部へ侵入している」という前提で調査を行います。
ログや端末の挙動、ネットワーク通信などを分析しながら、組織内に侵入・潜伏している脅威を能動的に探し出し、被害が拡大する前に対処することを主な目的としています。
| 観点 | 従来のセキュリティ対策 | 脅威ハンティング |
|---|---|---|
| アプローチ | リアクティブ(受動的) | プロアクティブ(能動的) |
| 前提 | 侵入を未然に防ぐ | 侵入されている可能性を前提とする |
| 対象 | 既知の脅威 | 未知の脅威 |
| 活動内容 | アラートへの対応 | 仮説に基づく調査・分析 |
| 主な目的 | 攻撃の防止 | 潜伏している脅威の発見・排除 |
2.なぜ今、脅威ハンティングが必要なのか?
近年、サイバー攻撃の手法は急速に高度化しており、従来のセキュリティ対策だけではすべての攻撃を防ぎきれないケースが増えています。
そこで今、重要視されているのが「侵入後の脅威をいかに早く発見するか」という視点です。
もはや侵入を100%防ぐことは不可能という前提に立ち、自ら積極的に潜伏する脅威を探し出す「脅威ハンティング」が大きな注目を集めています。
巧妙化するサイバー攻撃と「長期潜伏」のリスク
近年のサイバー攻撃は、不特定多数を狙う「無差別型」から、特定の企業や組織を狙う「標的型」へと変化しています。
攻撃者は、侵入後すぐには行動を起こさず、組織内に潜伏しながら情報収集や攻撃の準備を進めます。
その際、Windows OSに標準で組み込まれているPowerShellなどの正規ツールを悪用し、既存のセキュリティ製品による検知を回避するケースも増えています。
潜伏期間が長引くほど、攻撃者による権限の悪用が進み、機密情報の漏えいやシステム破壊などの被害が深刻化する可能性があります。
脅威ハンティングは、巧妙に潜伏している脅威をいち早く発見し、被害の拡大を防ぐための有効な手段といえます。
従来の防御をすり抜ける「見えざる脅威」の存在
EDR(Endpoint Detection and Response/エンドポイント検知・対応)やSIEM(Security Information and Event Management/セキュリティ情報イベント管理)などのセキュリティツールは、不審な挙動を検知し、迅速な初動対応を行ううえで非常に有効です。
とは言え、すべての攻撃を100%検知できるわけではありません。
未知のマルウェアや正規ツールを悪用する高度な攻撃などは、これらの防御システムをすり抜けてしまう可能性があります。
また、攻撃者はEDRやSIEMによる検知を回避するために常に手口を進化させており、アラート通知を待つだけでは巧妙な攻撃の痕跡を捉えきれないケースもあります。
そこで重要になるのが脅威ハンティングです。
システムやネットワーク内に残されたわずかな痕跡を能動的に追跡することで、従来のセキュリティツールでは見落とされがちな隠れた脅威を発見できます。
3.脅威ハンティングがもたらす3つのメリット
脅威ハンティングは、潜在的な脅威を早期に発見し、被害を最小限に抑えられるだけでなく、組織全体のセキュリティレベルを向上させる効果も期待できます。
ここでは、3つの代表的なメリットをご紹介します。
- 攻撃の「初期段階」で気付き、被害を最小化できる
- 自社のセキュリティ対策の弱点を把握できる
- 攻撃者の狙いや手口への理解が深まる
攻撃の「初期段階」で気付き、被害を最小化できる
脅威ハンティングの最大のメリットは、サイバー攻撃の初期段階で不審な兆候を捉え、被害が拡大する前に先回りして対策を講じられる点です。
サイバー攻撃は、ある日突然前触れもなく被害が発生するわけではなく、水面下で静かに綿密な準備や調査が進められているものです。
一般的に、攻撃者は次のような段階を踏みながら、徐々に目的(情報窃取やシステム侵害など)へと近づいていきます。
サイバー攻撃の7ステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①偵察 | ターゲットの情報を収集する |
| ②武器化 | 攻撃に使用するツールやマルウェアを準備する |
| ③配送 | フィッシングメールや不正サイトを利用し、侵入のきっかけを作る |
| ④攻撃 | 悪意のあるコードを実行させる |
| ⑤インストール | ターゲットのPCにマルウェアを潜り込ませる |
| ⑥通信制御 | 外部との通信経路を確立し遠隔操作を可能にする |
| ⑦目的達成 | 情報窃取やシステム侵害など、攻撃の目的を達成 |
従来のセキュリティ対策では、ステップ③の「配送」やステップ④の「攻撃」が始まってから、アラートによって異常を検知し、対応を開始する受動的なアプローチが中心でした。
そのため、気付いた時にはすでに組織の奥深くまで侵入を許してしまっており、対応が後手に回りやすいという弱点がありました。
一方、脅威ハンティングは、ステップ①の「偵察」やステップ②の「武器化」といった初期段階から、攻撃者が残したわずかな痕跡を手掛かりに、不審な兆候を能動的に探し出します。
攻撃者の潜伏期間が短ければ短いほど、情報漏えいやシステム侵害のリスク、さらには復旧にかかるコストも抑えられます。
攻撃者の活動を早い段階で発見し、被害が拡大する前にその計画を阻止できることこそ、脅威ハンティングの大きな価値といえるでしょう。
自社のセキュリティ対策の弱点を把握できる
脅威ハンティングでは、ログやシステムの挙動を詳細に分析する過程で、自社のセキュリティ対策における課題や改善ポイントを把握できます。
例えば、「攻撃者がどこから侵入を試みたのか」「どの設定や運用上の不備を狙われたのか」が明らかになることで、監視体制や検知ルール、システム設定などの見直しが図れます。
脅威ハンティングで得られた知見を既存のセキュリティ対策に反映することで、組織全体のセキュリティレベルをより効果的に高めることができます。
攻撃者の狙いや手口への理解が深まる
脅威ハンティングは、攻撃者がどのような戦術・技術・手順(TTPs:Tactics, Techniques, and Procedures)を用いて組織内部へ侵入し、活動するのかを理解する貴重な機会でもあります。
近年は、PowerShellなどの正規ツールを悪用する攻撃や、数ヵ月~数年の長期間にわたる潜伏を前提とした標的型攻撃など、従来のセキュリティ対策だけでは発見が難しい手口も増えています。
脅威ハンティングを通じてシステム内部を詳細に調査することで、「どこから侵入を試みたのか」「侵入後にどのような行動を取ったのか」など、攻撃者の目的や行動パターンを把握できます。
敵の狙いや手口を深く理解することで、セキュリティツールの盲点を突くような巧妙な攻撃に対しても、その動きを完全に先回りした強固な防御体制を構築できます。
「入口対策」(侵入を防ぐ)「内部対策」(被害拡大を防ぐ)「出口対策」(漏えいを防ぐ)
「多層防御」によるセキュリティ強化を実現します
現代のサイバー攻撃は巧妙化・高度化しており、すべての攻撃を100%防ぐことは困難です。
企業には、「入口・内部・出口」という3つの領域で複数のセキュリティ対策を組み合わせ、被害を最小限に抑える『多層防御』の考え方が求められています。
当社では、この多層防御の考え方に基づき、以下3つのアプローチでお客様のセキュリティ対策をご支援します。
- 脆弱性管理
(入口・内部対策)
- 脅威ハンティング
(内部対策)
- 情報漏えい対策
(出口対策)
4.脅威ハンティングの代表的な3つの手法
脅威ハンティングにはさまざまなアプローチがありますが、代表的なものは大きく3つに分類できます。
自社の状況や目的に応じてそれぞれの手法を組み合わせることで、ハンティング活動をより効率的に進められます。
| 手法 | 特徴 |
|---|---|
| 仮説主導型ハンティング | 攻撃者の行動や手口(TTPs)に基づく仮説を立て、その仮説を裏付ける証拠を探す |
| IoC主導型ハンティング | 既知の攻撃情報(IoC)をもとに、自社内に同様の痕跡がないかを確認する |
| AI・機械学習型ハンティング | AIや機械学習を活用してログを分析し、人では気付きにくい異常を自動的に検出する |
仮説主導型ハンティング
仮説主導型ハンティングは、脅威ハンティングの中で最も一般的な手法です。
- 退職した社員のアカウントが不正に利用されているのではないか
- 業務時間外に管理者権限を使った不審な操作が行われているのではないか
- 機密データの持ち出しを目的として、大量のファイルがダウンロードされているのではないか
など、攻撃者の行動や手口(TTPs)に基づく仮説を立て、ログや端末の挙動、ネットワーク通信の状況などを分析しながら、その仮説が正しいかどうかを検証します。
セキュリティ担当者の知識や経験を踏まえ、特定の攻撃シナリオを想定して重点的に調査を行うことができます。
既知の脅威(IoC)主導型ハンティング
外部のセキュリティレポートなどで公開されている「IoC(Indicator of Compromise:侵害の痕跡)」情報をもとに、脅威ハンティングを行う手法です。
IoCには、例えば次のような情報が含まれます。
- 不審なIPアドレス
- 攻撃で使われたURLやドメイン名
- マルウェアのファイルハッシュ値
- 攻撃者が遠隔操作に使う通信先(C&Cサーバーなど)
「既知の脅威」として世の中に公開されている攻撃データをもとに、自社内にも同様の痕跡が残っていないかを調査します。
他社で実際に確認された攻撃事例を参考に、自社環境に潜んでいる「類似リスク」を効率良く洗い出すことができます。
AI・機械学習を活用したハンティング
日々蓄積される膨大なログデータの中から、通常とは異なる不審なアクティビティを、AIや機械学習を活用して自動的に検出する手法です。
AIや機械学習の活用により、人間の目では気付きにくいわずかな変化や、未知の攻撃パターンを発見できる可能性があります。
人が行う「仮説主導型ハンティング」を補完する位置付けであり、より広範なリスクを漏れなく捉えるアプローチとして期待されています。
5.脅威ハンティングの具体的な進め方(5ステップ)
脅威ハンティングを効果的に実施するためには、場当たり的なアプローチではなく、体系的なプロセスに沿って進めることが重要です。
ここでは、脅威ハンティングにおける5つの基本的なステップをご紹介します。
| ステップ | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 目的(ゴール)の明確化 | 脅威ハンティングを通じて何を達成したいのか、明確な目的(ゴール)を設定します。 |
| 2 | データ収集・分析基盤の構築 | PC、サーバー、ネットワーク機器などから各種ログを収集し、SIEMなどを活用して一元的に分析できる環境を整えます。 |
| 3 | 仮説の立案 | 外部で公開されている過去の攻撃事例や最新の脅威情報などを参考に、「攻撃者がすでに侵入しているとしたら、どのような行動を取っている可能性があるか」という仮説を立てます。 |
| 4 | 仮説の調査・検証 | 収集したデータを詳細に調査・分析し、仮説を裏付ける証拠が存在するかを検証します。 |
| 5 | 検証結果に基づく対応・改善 | 脅威を発見した場合は、被害の拡大を最小限に抑えるため、速やかにインシデント対応を実施します。 得られた知見はナレッジとして蓄積しておき、今後のハンティング活動やセキュリティ対策の改善に活かします。 |
ステップ1:目的(ゴール)の明確化
まずは、脅威ハンティングを通じて何を達成したいのか、目的(ゴール)を明確にします。
- ランサムウェアの初期侵入の痕跡を検出したい
- 内部不正によるデータ持ち出しの兆候を確認したい
- 特権アカウントが悪用されていないか確認したい
など、できるだけ具体的に目的を設定することが重要です。
目的が明確になることで調査の方向性が定まり、ハンティング活動の効率も大きく向上します。
ステップ2:データ収集・分析基盤の構築
脅威ハンティングを効果的に行うためには、調査・分析の材料となる「データ」の存在が不可欠です。
そのため、PC・サーバー・ネットワーク機器など、組織内に存在するさまざまなIT機器からログを集約し、一元管理できる環境を整える必要があります。
具体的には、エンドポイントのログ(EDR)、操作ログ、アクセスログ、認証ログなどを収集し、SIEMなどのプラットフォームに統合することで、データを横断的に分析できる環境を構築します。
脅威ハンティングの成否は、収集するデータの「質」と「量」、そしてそれらのデータを統合し、一元的に分析できる環境が整っているかどうかにかかっています。
収集するデータの例
- エンドポイントのログ(EDR)
PCやサーバーなど、端末上での詳細な動作履歴。
- 操作ログ
PC上での操作履歴。
ファイルコピー、USB接続、印刷など、ユーザーの操作内容を記録。
- アクセスログ
Webサイトや共有フォルダへのアクセス履歴。
「誰が・いつ・どこにアクセスしたか」を記録。
- 認証ログ
ログイン成功/失敗の記録。
- システムログ
サーバーの起動・停止、システムエラー、ソフトウェアの更新履歴など。
- 設定変更ログ
セキュリティ機能の有効化/無効化や、ユーザー権限の変更履歴など。
ステップ3:仮説の立案
「攻撃者がすでに侵入しているとしたら、どのような行動を取っている可能性があるか」という観点で、調査すべき仮説を立てます。
仮説は具体的であればあるほど、その後の調査・分析の精度も高まります。
仮説の立案にあたっては、「MITRE ATT&CK(マイターアタック)」などの外部リソースを参考に、自社で起こりうる攻撃シナリオを具体的に想定することが有効です。
MITRE ATT&CKとは、実際に発生したサイバー攻撃の事例をもとに、攻撃者の戦術や技術(TTPs)を体系的に整理した世界的なナレッジベースです。
こうした外部の公開データを活用することで、より現実的な攻撃シナリオを描くことができます。
仮説の例
- VPN機器の脆弱性を悪用され、外部から不正アクセスが行われているのではないか
- 管理者アカウントに対し、不審なログイン試行が繰り返されているのではないか
- 攻撃者が活動の足跡を消すために、特定の端末でログの消去を試みているのではないか
- 機密情報を含む重要ファイルが、外部のクラウドストレージにアップロードされているのではないか
ステップ4:仮説の調査・検証
立てた仮説が正しいかどうかを検証するために、分析ツールを用いて収集データを深く掘り下げていきます。
ここでは、複数の異なるログを組み合わせて分析する「相関分析」や、過去のデータから通常の状態を定義し、現在のデータと比較する「ベースライン分析」など、さまざまな手法が活用されます。
仮説の真偽を見極める重要な工程であり、セキュリティ担当者の高い分析力と粘り強い調査力が求められます。
調査の結果、仮説に合致する不審な挙動が確認された場合は、実害につながる可能性が高いと判断し、迅速な初動対応・封じ込めを実施します。
逆に、仮説を裏付ける証拠が得られない場合や、正常な挙動であることが確認された場合は、その仮説は誤りだったと判断します。
ステップ5:検証結果に基づく対応・改善
仮説の検証結果に応じて、次のような対応を行います。
脅威が見つかった場合(仮説が正しかった場合)
仮説に合致する脅威の存在が確認された場合は、被害の拡大を最小限に抑えるため、速やかに初動対応や封じ込めを実施します。
- 端末の隔離:マルウェアの拡散や不正アクセスの拡大を防ぐため、感染端末をネットワークから切り離す
- アカウントの無効化:不正利用された可能性のあるアカウントを停止する
- 通信の遮断:攻撃者のC&Cサーバー等への不審な通信をブロックする
必要に応じて影響範囲の調査や原因分析を行い、再発防止に向けた対策を検討します。
脅威が見つからなかった場合(仮説が誤りだった場合)
仮説に合致する脅威が確認されなかった場合でも、今までの取り組みは無駄にはなりません。
調査手順や分析結果、正常な挙動と判断した理由などをドキュメント化し、今後のハンティング活動に役立てます。
どのような結果であったとしても、脅威ハンティングを通じて得られた知見は、組織にとって貴重な財産です。
攻撃の兆候や侵入経路、効果的だった調査手法、実際の分析結果などを記録・共有することは、今後のハンティング活動やインシデント対応の精度向上につながります。
脅威ハンティングは「一度実施して終わり」の活動ではありません。
仮説を立てる → 調査・検証する → 対応する → 改善する
という一連のサイクルを継続的に回し続けることで、組織全体のセキュリティレベルを着実に高めることができます。
「入口対策」(侵入を防ぐ)「内部対策」(被害拡大を防ぐ)「出口対策」(漏えいを防ぐ)
「多層防御」によるセキュリティ強化を実現します
現代のサイバー攻撃は巧妙化・高度化しており、すべての攻撃を100%防ぐことは困難です。
企業には、「入口・内部・出口」という3つの領域で複数のセキュリティ対策を組み合わせ、被害を最小限に抑える『多層防御』の考え方が求められています。
当社では、この多層防御の考え方に基づき、以下3つのアプローチでお客様のセキュリティ対策をご支援します。
- 脆弱性管理
(入口・内部対策)
- 脅威ハンティング
(内部対策)
- 情報漏えい対策
(出口対策)
6.脅威ハンティングに必要なスキルとツール
脅威ハンティングを成功させるためには、専門知識を持つ人材と、調査・分析を効率化するツールの両方が欠かせません。
「人」ならではの洞察力と、「ツール」によるデータ収集・分析力を組み合わせながら、高度化・巧妙化するサイバー攻撃に対応できる強固な体制を構築することが重要です。
セキュリティ人材に求められるスキル
脅威ハンティングにおいて、セキュリティ担当者に求められるスキルとしては、次のようなものが挙げられます。
| スキル | 内容 |
|---|---|
| ①インフラ・セキュリティ知識 | OSやネットワーク、クラウドに関する深い理解 攻撃者の戦術・技術・手順(TTPs)に関する知識 |
| ②仮説思考力 | 「もし自分が攻撃者ならどう狙うか」という視点から、具体的な攻撃シナリオ(仮説)を組み立てる能力 |
| ③データ分析力 | EDRやSIEMなどのセキュリティツールから出力される大量のログを解析し、わずかな異変を発見する力 |
| ④情報収集能力 | 最新の攻撃動向や脅威情報をタイムリーに収集し、自社の調査・分析に活用する能力 |
| ⑤コミュニケーション能力 | 発見した脅威を関係者に分かりやすく説明し、適切な対策につなげる能力 |
特に、②「攻撃者目線で仮説を立てる力」と、③「膨大なデータの中から仮説を裏付ける証拠を見つけ出す力」の2つは、脅威ハンティングの成果を大きく左右するスキルといえるでしょう。
脅威ハンティングでは、「もし攻撃者がこの脆弱性を悪用して侵入したら、自社内にどのような痕跡が残るか」を想定し、自ら仮説を作り出す力が求められます。
さらに、収集した大量のデータの中から、その仮説を裏付ける根拠を見つけ出し、実際に脅威が存在するかどうかを検証しなければなりません。
しかし、分析対象となるログの大半は正常な活動の記録です。
その中から、普段とは違うわずかな違和感やノイズを見つけ出すには、職人技のような高度な分析力が求められます。
活用される主要なセキュリティツール
人の手による仮説の立案や検証作業を効率的に進めるために、膨大なログや通信データ、脅威情報を収集・可視化・分析できるセキュリティツールも上手に活用しましょう。
脅威ハンティング活動を支える主なツールは以下の通りです。
| ツール | 役割 |
|---|---|
| SIEM (Security Information and Event Management) |
サーバー、ネットワーク機器、クラウドサービス、エンドポイントなど、複数のソースから収集したログを統合し、相関分析によって攻撃の兆候を早期に検知する |
| EDR (Endpoint Detection and Response) |
PCやサーバーなどのエンドポイントを監視し、不審な挙動の検知や調査・対応を支援する |
| NDR (Network Detection and Response) |
ネットワーク通信を継続的に監視し、不審な通信や攻撃の兆候を検知する |
| 脅威インテリジェンスプラットフォーム (Threat Intelligence Platform) |
最新の攻撃手法や脆弱性情報、攻撃者の活動状況など、外部に公開されている脅威情報を自動で集約し、仮説立案や調査・分析に活用する |
7.脅威ハンティングに関するよくある質問(FAQ)
最後に、脅威ハンティングに関するよくある質問をまとめました。
脅威ハンティングとは何ですか?
脅威ハンティングは、組織のシステムやネットワーク内に潜む「まだ検知されていない脅威」や「現在進行中の脅威」を自ら積極的に探し出すセキュリティ活動のことです。
ログやネットワーク通信、端末の挙動などを詳細に分析することで、サイバー攻撃の兆候を早期に発見し、被害を未然に防ぐことを目的としています。
脅威ハンティングと通常のログ監視は何が違うのですか?
通常のログ監視は、既知の攻撃パターンに基づくアラートへの対応を中心とした「受け身」の運用です。
一方、脅威ハンティングは、アラートが出ていなくても不審な兆候を自ら探しに行く「能動的」な活動であり、未知の脅威や高度な標的型攻撃の発見に適しています。
脅威ハンティングはどんな企業に向いていますか?
脅威ハンティングは、EDRやSIEMなどのセキュリティツールを導入しているものの、「本当に安全だと言い切れるのだろうか」と不安を感じている企業に適しています。
アラート頼りの検知だけでは発見が難しい潜在的な脅威を能動的に調査し、既存のセキュリティ対策を補完できます。
また、金融・医療・製造・公共インフラなど、機密性の高い情報を扱っており、サイバー攻撃の標的となりやすい企業にも有効です。
さらに、クラウドサービスの利用拡大やリモートワークの普及により、IT環境が複雑化している企業でも、高い効果が期待できます。
脅威ハンティングには専門的な知識や分析スキルが求められますが、自社で十分な人材や体制を確保できない場合でも、外部のセキュリティベンダーによる支援を活用することで、高度な脅威の早期発見が可能です。
何も異常が見つからなかった場合、脅威ハンティングにかけた時間やコストは無駄になりませんか?
いいえ、無駄にはなりません。
仮に攻撃の痕跡が見つからなかったとしても、組織内におけるセキュリティリスクの高い運用や、設定上の問題点を発見できるという大きなメリットがあります。
例えば、ある企業で脅威ハンティングを実施した際、不正アクセスそのものは確認されませんでした。
しかし調査の過程で、「社内でFTPソフトが日常的に利用され、毎日大量のデータが外部へ送信されている」という危うい実態が明らかになりました。
この結果を受けて、不要なFTPソフトの利用を停止するなどの運用改善を行ったことで、将来的に攻撃者に悪用されるリスクを未然に防ぐことができました。
このように、脅威ハンティングは単に「脅威を探す」だけでなく、「潜在的なリスクを洗い出して改善し、組織全体のセキュリティを強化する」という重要な役割も担っています。
8.まとめ - 脅威ハンティングを始めるなら
脅威ハンティングは、巧妙化・高度化するサイバー攻撃に対し、先回りして脅威を発見・対処するためのプロアクティブ(能動的)なセキュリティ活動です。
従来のようにアラートを待つだけでは発見が難しい潜在的な脅威を自ら調査することで、攻撃の兆候を早期に把握し、被害の拡大防止につなげることができます。
また、脅威の発見だけでなく、組織内に潜むリスクの高い運用や設定上の課題を洗い出し、セキュリティ体制を継続的に改善するうえでも有効です。
今回ご紹介した進め方やポイントを参考に、自社のセキュリティ強化の一環として、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
なお、当社コンピュータマネジメントでは、クラウド型の脅威ハンティング専門ツール「Hunt.io(ハント・アイオー)」を活用した運用支援サービスを提供しています。
正規ツールを悪用する攻撃をはじめ、従来のセキュリティ製品では見逃されやすい「アラートが出ない攻撃」の発見・分析が強みです。
「異常なし=安全」とは言い切れない今だからこそ、潜在的なリスクの早期発見が欠かせません。
脅威ハンティングにご興味のある方や、導入をご検討中の方は、お気軽に当社までお問い合わせください。
「入口対策」(侵入を防ぐ)「内部対策」(被害拡大を防ぐ)「出口対策」(漏えいを防ぐ)
「多層防御」によるセキュリティ強化を実現します
現代のサイバー攻撃は巧妙化・高度化しており、すべての攻撃を100%防ぐことは困難です。
企業には、「入口・内部・出口」という3つの領域で複数のセキュリティ対策を組み合わせ、被害を最小限に抑える『多層防御』の考え方が求められています。
当社では、この多層防御の考え方に基づき、以下3つのアプローチでお客様のセキュリティ対策をご支援します。
- 脆弱性管理
(入口・内部対策)
- 脅威ハンティング
(内部対策)
- 情報漏えい対策
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この記事を書いた人
Y.M(マーケティング室)
2020年に株式会社コンピュータマネジメントに新卒入社。
CPサイトのリニューアルに携わりつつ、会社としては初のブログを創設した。
現在は「情シス支援」をテーマに、月3本ペースでブログ更新を継続中。





