【Wordサンプル付き】RFIに必要な項目とは?書き方と作成ポイントを徹底解説!

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近年、システム開発やリプレイスをベンダーに委託するにあたり、発注側の要望を先方へ正しく伝えるためにRFP(提案依頼書)を作成するケースが増えています。

一方で、RFPよりも前にベンダーに対して製品・サービスに関する情報提供を依頼するRFI(情報提供依頼書)については、RFPほど必要に迫られる場面は少ないことから、「一度も作成したことが無い」「そもそも目にしたことが無い」という方も多いのではないかと思います。

 

しかし、自社の課題解決に向けて頼りになるベンダーの目星がつかない企業にとっては、複数のベンダー各社から幅広く情報を収集して比較検討に活用できるRFIは非常に有用です。

 

そこで今回は、「RFIを作成したいけど、書き方がよく分からない・・・」という方に向けて、記載例と作成時のポイントについてご紹介します。

本記事の内容と連動したシステム開発向けRFI(情報提供依頼書)のWordサンプルもダウンロードいただけますので、ぜひ雛形としてご活用ください。

目次

1.RFI(情報提供依頼書)とは?

まずは、RFI(情報提供依頼書)の意味について軽く確認しておきましょう。

 

RFIとは「Request for Information」の略で、企業がシステム開発やリプレイスなどを計画する際に、ベンダー10社ほどに対し「御社の会社情報、製品・サービス情報、実績等について詳しく話を聞かせてほしい」と情報提供を依頼する文書のことです。

RFIの活用により、様々なベンダーから幅広く製品・サービス情報を収集し、自社課題やニーズのマッチ度に合わせて3~4社に発注先ベンダー候補を絞り込み、その後のRFP(提案依頼書)作成をスムーズに進めることができます。

 

なお、RFIの概要やRFPとの違いについては、以下の記事にて詳しく解説しておりますので、こちらも併せてご参照ください。

RFI 誰が作成

2.RFIの項目ごとの書き方

RFIには特に決まったフォーマットはありませんが、以下のような目次構成で作成すると上手くまとめることができます。

RFI 項目 書き方

ここからは、RFIにはどのようなことを記載する必要があるのか、項目ごとに詳しく見ていきましょう。

①情報提供の依頼目的

自社がどのような事業を展開している企業で、今何に困っているのかを伝えるために、RFIを作成するに至った目的や背景について記載する部分です。

表紙

自社の会社名とプロジェクト名を記入し、何についてのRFI(情報提供依頼書)か明記します。

顧客管理システム刷新プロジェクト情報提供依頼書(RFI)

YYYY年mm月dd日

株式会社AAA

本書の目的

RFIを発行する目的について簡潔に記載します。

現在、当社では長年にわたって使用してきた顧客管理システムのOSが2025年にサポート切れとなることを受け、既存顧客管理システムの刷新を計画しております。

 

本書(情報提供依頼書/RFI)は、顧客管理システムの刷新にあたり、貴社が提供可能なソリューションに関する情報の提供をお願いするものです。

プロジェクトの背景

なぜそのプロジェクトを立ち上げることになったのか、背景が分かるように記載します。

現状の顧客管理システムではWindows 10を使用しており、サポートが終了する2025年10月14日までにWindows 11へのアップグレードが必要となっています。

また、現行システムは8年前に導入したものであり、導入から長い歳月を経過して企業の成長や変化するビジネスニーズに対応しきれておらず、現状の業務内容にシステムが適合していないという問題も生じています。

 

このような背景を踏まえ、OSのサポート切れに伴うセキュリティリスクの軽減と、既存機能の見直しによる業務効率化の実現を目的として、○○年○○月に顧客管理システム刷新プロジェクトが発足しました。

現状の課題

システム開発やリプレイスが必要になった背景をより詳細に伝えるべく、今どのようなことに困っているのか、自社が抱えている現状の課題について記載します。

・セキュリティリスク

現状の顧客管理システムは使用しているOSのサポートが終了間近であり、セキュリティ更新プログラムの提供が将来的にストップすることにより、顧客データのセキュリティが脅かされるリスクに直面しています。

 

・必要機能の不足

現行システムには、特定の属性・行動に該当する顧客に対して最適なタイミングでメールマーケティングを行う「メール自動配信機能」が付いておらず、新規顧客の獲得や既存顧客の育成、販売促進などの営業活動に支障が出ています。

 

・拡張性と柔軟性の制約

現行システムでは、業界の変化や顧客ニーズの進化に合わせてシステムを柔軟に拡張することが極めて困難であり、競争力の強化に向けた迅速な対応が厳しい状態となっています。

システム化の目的

プロジェクト発足の背景や現状の課題を受けて、何のためにシステムの導入や再構築を行うのか、明確な目的を記載します。

上記背景および課題を踏まえて、株式会社AAAでは顧客管理システム刷新の目的を以下のように設定しました。

 

・システムのセキュリティ強化による顧客データの漏えいや改ざんの防止

・現行業務プロセスとシステム既存機能の適合性向上(不足機能の追加・不要機能の削除を含む)

・業界の変化や顧客ニーズの進化に合わせた柔軟なカスタマイズ性の付与

自社の会社概要

自社の会社概要(代表者・所在地・設立・資本金・売上高・従業員数・事業内容・組織図など)を記載します。

必要に応じてホームページへのリンクを掲載したり、会社パンフレットを添付したりしても良いでしょう。

会社名:株式会社AAA(HP:https://www.aaa.co.jp/)

代表者:代表取締役 ○○

所在地:東京都千代田区丸の内×-×-×

設立:○年○月

資本金:○○億円

売上高:○○億円

従業員数:○○人

事業内容:○○の製造、販売

組織図:図を添付

現行システムの利用者情報

現行システムの使用者(運用管理者、社内利用者)情報を記載します。

一部の部門のみで使われるシステムであれば、対象部門名や人数を記載しましょう。

(1)運用管理者
○○部 ○○名

(2)社内利用者
○○部 ○○名(契約社員、パート、アルバイト含む)

②情報提供の依頼内容

ベンダー側に情報提供してほしい項目は何か示す部分です。

ここで順番に項目を挙げていっても良いですが、ベンダー側が回答を記入しやすいようExcelなどで回答シートを別途用意しておき、「別紙『RFI回答シート』を参照」と示しておくと、さらにまとまりが良くなります。

なお、以下ではベンダー側にぜひ情報提供を依頼しておきたい項目の一例をご紹介しています。

ベンダーの企業情報

ベンダー側の会社概要について提示を依頼します。

「社名」「所在地」「売上高」「従業員数」「事業内容」などを聞くのが一般的ですが、近年はグループ企業と一体になってサービスを提供するベンダーも多くあることから、親会社や子会社、関連会社の情報も求めておくと良いでしょう。

会社名

会社HPのURL

代表者:代表取締役 ○○

所在地:○○県○○市×-×-×

設立:○年○月

資本金:○○億円

売上高(直近3年分):○○億円

従業員数:社員 ○○人、契約社員 ○○人

事業内容:○○の製造、販売

グループ企業の会社名、資本金、事業内容、従業員数、単体売上高など

ベンダーの製品・サービス情報

ベンダー側が提供可能な製品・サービス情報について提示を依頼します。

「製品・サービスの名称」や「リリース時期」、「主要機能」、「動作環境」など、各社の製品・サービスの特徴を正確に理解し、他社との違いを比較検討できるような項目を設けておきます。

製品、サービスの名称

リリース時期:○年○月

製品、サービスで解決できる課題

主要機能

開発言語

開発インフラ、基盤

提供形態:クラウド/オンプレミス

動作環境:ブラウザのバージョンなど

ライセンス形態:パッケージ/サブスクリプション/クラウドサービス

カスタマイズの可否:可能/一部のみ/不可

トライアル環境:有/無

セキュリティ:2段階認証やバックアップの有無など

現行システムからの移行サービス:有/無

サポート体制

価格プラン

導入実績

製品・サービス導入後に具体的にどのような成果が期待できるのかイメージが膨らむよう、ベンダー側に導入事例の提示を依頼します。

ただ漠然と実績を尋ねるだけでは、自社と同業種・同規模の企業への導入事例が得られず、あまり参考にならない可能性がありますので、導入企業の対象業種、企業規模はあらかじめこちらで指定しておくと良いでしょう。

・○○業界における導入実績数:○○件

┗上記導入実績の具体的内容(導入期間を含む)

 

・売上高○○億円程度の企業への導入実績数:○○件

┗上記導入実績の具体的内容(導入期間を含む)

③情報提供の手続き

RFIに対する回答の提出期限や提出先、システム調達までの具体的なスケジュールなどを記載する部分です。

調達スケジュール

自社が想定しているシステム調達スケジュールを記載します。

今回の調達について、どのようにベンダーを選定しようとしているのか、いつまでに発注先を決定しようとしているのか、システムをいつから稼働させたいと思っているのか、具体的なスケジュールを示すことで、調達に向けた本気度がベンダー側に伝わり、先方も真剣に情報を提供してくれるようになります。

当社で想定しているシステム調達スケジュールは以下の通りです。

日程に不都合がございましたら、あらかじめ希望する日程をご連絡ください。

 

YYYY年mm月dd日:RFI公開

YYYY年mm月dd日~YYYY年mm月dd日:RFIに対するQ&A

YYYY年mm月dd日:RFIへの回答締め切り

 

YYYY年mm月dd日~YYYY年mm月dd日:RFP作成

YYYY年mm月dd日:RFP公開

YYYY年mm月dd日~YYYY年mm月dd日:RFPに対するQ&A

YYYY年mm月dd日:提案書締め切り

 

YYYY年mm月dd日~YYYY年mm月dd日:提案書の内容精査、提案プレゼン

YYYY年mm月dd日:選定結果の通知

 

YYYY年mm月dd日~YYYY年mm月dd日:発注手続き

YYYY年mm月dd日:プロジェクト開始

 

YYYY年mm月dd日:次期システム稼働

提出先/お問い合わせ

ベンダー側がどのような方法でRFIに対する回答を提出すれば良いのか記載します。

また、ベンダー側からRFIに関する問い合わせが寄せられる可能性も踏まえて、質問の受付先も記載しておきます。

本RFIに対する回答のご提出は、PDF形式にて以下のメールアドレス宛てにお願いいたします。

 

また、本件に関するお問い合わせにつきましても、以下宛先へご連絡をお願いいたします。

なお、質問の内容によってはお答えできない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

 

株式会社AAA

担当部門名:○○部 担当者名:○○

メールアドレス:aaa@aaa.co.jp

提出期限

ベンダー側がいつまでにRFIに対する回答を提出すれば良いのか記載します。

なお、万が一提出期限に間に合わない場合は「選考対象外」となる旨をあらかじめ伝えておくことで、納期の厳守面においてより信頼性の高いベンダーを抽出するのに役立ちます。

回答のご提出は、YYYY年mm月dd日17:00厳守でお願いいたします。

期限を過ぎてもご提出いただけない場合、選定対象外とさせていただく場合がございますので、あらかじめご了承ください。

留意事項

情報提供に際して、秘密情報の守秘義務や発生する費用に関する事柄など、特記すべき内容があれば記載します。

①秘密情報の守秘義務

本情報提供依頼の過程において相互に開示される秘密情報の取扱いについては、別途締結する「秘密保持契約書(NDA)」の内容に従うものとします。

 

②費用に関して

株式会社AAAでは、本情報提供依頼の過程において発生する費用について一切負担いたしかねますので、あらかじめご了承ください。

 

③提出いただいた資料に関して

ご提供いただいた資料はいかなる理由があっても返却いたしかねますので、あらかじめご了承ください。

なお、ご提供いただいた資料等の内容は、今後実施予定の調達に係る仕様書に利用させていただく場合があります。

3.RFI作成時のポイント

最後に、RFIを作成する際のポイントを2つご紹介します。

依頼の目的・背景を明確にする

RFIの作成にあたり最も重要なのが、「今何に困っているのか?」「システム化によってどのような課題を解決し、どのようなビジョンを実現したいのか?」といった目的・背景を明確にすることです。

解決すべき課題や実現したい理想の姿が明らかであれば、その解決・実現のためにシステムをどのように活用すべきか、ベンダー側がソリューションを提供しやすくなります。

 

そのため、「○○システムを導入・再構築したい」ではなく、「○○に困っているので、こんな製品・サービスがあったら欲しい」のように「課題ありき」で記載するよう心がけると、有用な情報の獲得につながります。

回答項目を細かくしすぎない

RFIの目的は、あくまでも発注先ベンダー候補を絞り込むための幅広い情報収集であり、ベンダーの選定ではありません。

あまりにも細部にこだわりすぎているRFIは、情報収集という本来の目的から逸脱しかねませんし、細かすぎる項目にうんざりしてベンダー側が回答を渋るようでは、それこそ本末転倒です。

 

RFIは一般的に回答期限が1~2週間とされていますので、その期間内でベンダー側が無理なく回答を作成できるように、質問はシンプルで明瞭な内容にすることが大切です。

4.まとめ -RFIのWordサンプルダウンロードはこちらから

いかがでしたでしょうか?

 

冒頭でもお伝えした通り、今回は「RFIの書き方が分からない」という方に向けて、本記事の内容と連動したシステム開発向けRFI(情報提供依頼書)のWordサンプルをご用意しました。

実際のプロジェクト内容に合わせて適宜カスタマイズしていただき、RFIの作成にお役立ていただければ幸いです。

「RFI作成に際して、専門家の視点から具体的なアドバイスが欲しい」

「RFIを作成してみたが、このまま公開に踏み切っても問題ないか不安を感じる」

・・・など、自社だけでRFIの作成を完結するのが難しいという企業様向けに、当社では「RFI/RFP伴走支援サービス」を行っております。

 

以下リンクより「RFI/RFP伴走支援サービス」に関する資料を無料でダウンロードすることができますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

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この記事を書いた人

Y.M(マーケティング室)

2020年に株式会社コンピュータマネジメントに新卒入社。
CPサイトのリニューアルに携わりつつ、会社としては初のブログを創設した。
現在は「情シス支援」をテーマに、月3本ペースでブログ更新を継続中。