RFP(提案依頼書)とは?RFI・要件定義書との違いや作成までの流れを解説!

TOP » ブログ一覧 » システム調達 » RFP(提案依頼書)とは?RFI・要件定義書との違いや作成までの流れを解説!
RFPとは アイキャッチ画像

近年DX化が進み、システムを導入して自社の業務改善を図る企業が増えています。

 

しかし、「システム開発に詳しくない」という理由で発注側が受け身になり、ベンダー側に何もかも任せきりにした結果、両者の間で認識のズレが生じてシステム導入が失敗に終わるケースも少なくありません。

そこで重要になるのがRFP(提案依頼書)の作成であり、トラブルなくシステム開発を成功させるために必要不可欠なものになります。

 

今回は、RFPについてよく知らない方や、プロジェクト開始に向けてRFPを初めて作成することになった方向けに、RFPの概要やメリット、RFI・要件定義書との違い、作成までの流れ、作成時のポイントなどについて解説していきます。

なお、「RFPを自社だけで作成するのは難しい・・・」と感じる方向けに、当社では「RFI/RFP伴走支援サービス」を行っております。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。

目次

1.RFP(提案依頼書)とは?

RFPとは「Request for Proposal」の略で、日本語では「提案依頼書」と訳されます。

発注側企業がSIerやベンダーに対して自社の要件を示し、システムの具体的な提案を依頼するために作成する文書です。

 

内容としては、自社の現状の課題やあるべき姿、課題解決のためにシステムに搭載したい機能など、システム導入に関わる発注側企業の様々な要望や条件が書かれており、RFPはこのような情報をベンダー側に漏れなく伝え、自社にとって最適な提案を引き出すための役割を持っています。

2.RFPを作成する目的

RFPを作成する目的はずばり、発注側企業がベンダー側に対して、自社の課題や実現したいこと、システムに求める要件を正確に伝えることです。

 

RFPを通して、「今どのような課題を抱えているのか?」「どのようなゴールを目指しているのか?」といった情報をお互いに共有し、認識をすり合わせていくことで、ベンダー側から自社の実情に合った最適な提案を受けることができます。

3.RFI、要件定義書との違い

RFI RFP 要件定義書 違い

RFI(情報提供依頼書)

RFPとよく似た用語に「RFI(Request for Information)」がありますが、これは日本語で「情報提供依頼書」と訳され、発注側企業がベンダー側に対して会社情報や開発実績、技術・製品情報の提示を求める書類のことを指します。

 

通常RFPの前に作成するもので、一般に公開されているWebサイトや会社パンフレットでは得られない情報提供を受けることができます。

なお、RFIについては以下の記事でも詳しく解説しておりますので、よろしければぜひご一読ください。

さらに、発注側から提供する情報やベンダー側から提供される情報が、競合他社には知られたくない企業秘密に当たる場合は、第三者への漏えいを防ぐために、必要に応じてNDA(機密保持契約)を締結しておくと安心です。

要件定義書

要件定義書とは、発注側から提示された様々な要求事項を実現するために必要なシステムの機能や画面イメージなどをまとめたものです。一般的に、ベンダー側の支援を受けながら発注側企業が作成します。

 

発注側企業が現状抱えている課題の解決に向けて適切なシステム提案を受けるために必要とされるRFPとは異なり、開発工程に入りシステムを具体的にどのような方法で作っていくべきか、技術的な視点も交えながら整理した文書になります。

要件定義に関してもっと理解を深めたい方は、こちらの記事も併せてご参照ください。

4.RFPのメリット-なぜRFPが必要なのか?-

次に、RFPがなぜ必要なのか、5つのメリットについて見ていきましょう。

①自社が求める要件をベンダー側に正しく伝えられる

RFP作成における最大のメリットは、自社の要望をシステム開発会社へ適切に伝えられる点です。

 

口頭だけの説明では要件の抜け漏れや認識相違が発生し、ベンダー側から見当違いの提案を受ける可能性が高くなります。

提案内容の軌道修正をするにも余分な時間や労力がかかり、お互いにとって大変なストレスとなってしまうでしょう。

 

RFPを事前に用意しておくことで、自社の課題や将来像を踏まえた満足のいく提案を受けることができ、その後のシステム開発もスムーズに進みます。

②自社の課題を冷静に見つめ直すきっかけになる

RFPを作成するには、「何のためにシステムを導入するのか?」「システムを使ってどんな課題を解決したいのか?」という根本的な部分を明らかにする必要があるため、自社の現状を見直す良い機会になります。

自社課題の抽出を進めていくうちに、今まで気づかなかった課題にも気づくことができるかもしれません。

 

また、しっかりとしたRFPがあれば、発注側だけでは洗い出しきれなかった課題をベンダー側から指摘してもらえることもあります。

いずれにせよ、RFPの作成は自社の現状把握や課題発見、将来のビジョン明確化に大いに役立つといえます。

③ベンダー各社からの提案を効率よく評価・比較できる

RFPが無いと、発注候補先となるすべてのベンダーに自社の要件を口頭で説明しなければならず、説明が各社で食い違ったり、ベンダー側で異なる意味に解釈されてしまったりして各社バラバラな提案となり、評価が非常に難しくなります。

 

複数のシステム開発会社に同じ内容のRFPを出すことで、各システム開発会社からの提案に大きなブレがなくなり、各提案の比較をスムーズに行って自社に合ったベストな委託先を見極めやすくなります。

④トラブル発生防止になる

システム開発の場面では、曖昧な要求や口約束、認識の違いなどを原因としたトラブルが発生するケースが少なくありません。

例えば、発注側は「要件をきちんと伝えたのに完成したシステムが思っていたものと違う」、ベンダー側は「発注側の要望通りシステムを作った」と主張し、意見が平行線を辿って訴訟に発展するケースがあります。

 

ひとたび訴訟に発展してしまうと解決までには何年もかかり、発注側とベンダー側の双方がリソース面で深刻なダメージを受けることになります。

RFPを作成して要件を明確にしておくことで、こうしたトラブルの発生を未然に防ぐことができます。

⑤経営層を中心とした社内の合意を得やすくなる

システム導入には巨額の費用が掛かるため、失敗しても後戻りができません。

社内合意の獲得にもたもたと時間を掛けずにプロジェクトを推し進めるには、経営層や他部門のマネージャー層が最も気にする「莫大な費用を投資するだけの価値があるか」という投資対効果について、説得力のある根拠を示す必要があります。

 

その点、RFPを作成することでシステム導入の目的や要件が明確になり、RFPが無い場合と比べて経営層や社内の関係部門の合意をスムーズに得ることができます。

5.RFPに必要な項目

RFPには特に決まったフォーマットはありませんが、「全体の概要」「提案依頼要件」「選定の進め方」の3つを基本構成として作成することが多いです。

ここでは、3つの基本構成に沿ってRFPに最低限記載が必要な項目について列挙していきます。

 

なお、項目ごとに具体的にどのような内容を記載する必要があるのか、書き方を詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご参照ください。

全体の概要

プロジェクトの全体像を伝える部分です。

本書の目的:何のための提案依頼書か

プロジェクトの背景:システム導入に至った背景

現在抱えている課題:システムを導入して解決したい現状の課題

ゴール:プロジェクトのゴール(求める品質や納期、費用)

プロジェクトのスコープ:提案を依頼したいプロジェクトの範囲(システム開発だけ?機器の購入や保守も含む?)

会社情報:自社の業種や取扱うサービス内容、社内組織図、システム利用者情報など

システム構成:現行の社内システム構成図、システムパッケージ

機器情報:現行PCやサーバなどの台数、スペック情報

提案依頼要件

ベンダー側が提案書を作成するにあたり、盛り込んでほしい情報を伝える部分です。

ベンダー側の会社、組織情報

提案システム概要、構成

機能要件:システムに必要な機能

非機能要件:性能や拡張性、セキュリティなど

プロジェクトの体制、スケジュール

納品成果物一覧、ドキュメントサンプル

本稼働後のサポート体制、運用保守内容

概算費用(見積もり)

制約事項

契約内容、支払い方法

選定の進め方

RFPの提出後、どのような手順でベンダーの選定を進めるか示す部分です。

選定スケジュール:提案書の締め切り、プレゼン日程、選考結果の連絡日など
※一般的に、RFPの提出から提案書の提出までの期間は2~3週間程度

提案書提出先:担当者の氏名およびメールアドレスなどの連絡先情報

評価基準:選定時に重要視するポイント

6.RFPの作成からベンダー選定までの流れ

RFPの作成までに必要なステップと、RFP提出後のベンダー選定までの流れは次の通りです。

RFP作成 流れ

①現状の課題洗い出し

RFPを作成する前に、まず自社が現状抱えている課題を徹底的に洗い出す必要があります。

経営層、管理職、現場など、社内の様々な立場の人にヒアリングを行い、それぞれがどのような課題を抱えているのか認識のすり合わせを行いましょう。

 

現行業務において今何に困っているのかを明確にすることで、どのようなシステムを開発すれば良いのか、どのような機能が必要なのかが見えてきます。

②システム導入目的の明確化

社内で現状課題の洗い出しができたら、その内容に基づきシステム導入の目的を明確にしましょう。

 

導入目的が曖昧だと、せっかく導入したシステムを社内で有効活用できなくなってしまうため、「なぜそのシステムを導入するのか?」「どのような課題を解決したいのか?」についてしっかりと言語化し、プロジェクトメンバーの間で共有しておくことが大切です。

③RFIによるベンダーの情報収集

課題の洗い出しや導入目的の設定ができたら、次は情報収集やリサーチを兼ねてRFIをベンダー6~7社ほどに提出します。

 

RFIの回答を見て、明らかに自社プロジェクトにそぐわない回答やあまり熱意のないベンダーがあれば候補から外し、次のRFPを提示するベンダーを3~5社程度に絞り込みます。

④RFPの作成・提出

RFIで得られた情報をもとに導入したいシステムのイメージや要件を具体化できたら、いよいよRFPの作成に移ります。

 

プロジェクトの目的やシステムへの要求事項など、自社の現状および希望条件を余すところなくドキュメント化し、ベンダー側へ提出します。

⑤提案書の比較・評価

RFPの提出後は、ベンダー各社から示された提案書の内容を精査し、RFP作成時に策定した評価基準に従って各提案を比較・検討します。

評価の際は、客観的かつ公平な評価が行えるよう、評価シートやチェックリストを使用することが多いです。

 

なお、場合によっては提案内容に関してベンダー側のPM(プロジェクトマネージャー)候補にプレゼンテーションを実施してもらい、その力量や人となりを見極めて評価の参考にすることもあります。

⑥発注先ベンダーの決定・契約の締結

その後、提案書およびプレゼンテーションの評価結果や見積額の妥当性をもとに、最終的な発注先ベンダーを決定します。

 

選定結果は関係各所へ報告のうえ、ベンダー側と提案内容の調整を済ませた後、契約の締結を行います。

7.RFP作成時のポイント

ここからは、RFPを作成するときに注意したい3つのポイントをご紹介します。

プロジェクトの目的・ゴールを明確にする

システム導入の目的やゴールを明確にしないままプロジェクトを進めると、後々「スケジュールが大幅に遅延した」「想定以上に開発費用が掛かった」「バグが頻発してシステムが使い物にならない」「せっかく導入したのに全然使われないシステムになってしまった」などのトラブルが発生するリスクが高くなります。

 

RFPを通して発注側とベンダー側の双方が目的・ゴールを共有し認識を合わせておくことで、開発が行き詰まった時に当初の目的に立ち返り、柔軟に軌道修正を図ることができます。

特に、「システムを使って何を実現したいのか?」「どのような課題を解決したいのか?」という本質的な部分は必ず明らかにしておきましょう。

様々な立場の人から意見を集めて抜け漏れを防ぐ

新システムの導入は、少なからず社内で現在利用している他システムへ影響を及ぼします。

そのため、RFPを作成する際には、経営層、管理職、ユーザー部門など、社内の様々な立場の人から話を聞き、意見を集めるようにしましょう。

必要な情報をすべて盛り込めているか、要件に抜け漏れが無いか話し合いを重ねることで、より質の高いRFPを仕上げることができます。

 

特に、実際にシステムを利用するユーザー部門の担当者にもRFP作成から参画してもらうことで、現場にシステム導入プロジェクトへの責任や当事者意識が生まれ、その後の工程で協力体制を組みやすくなります。

最初から完璧を目指さない

前述の通り、RFPは新システムの導入に関わる幅広い層の意見を汲んで徐々にブラッシュアップしていくものですから、最初から抜け漏れの無い完璧なものを作る必要はありません。

 

そもそも、RFPの目的はベンダー側から良い提案をしてもらい、後のシステム開発をスムーズに進めることにあります。

足りない部分や抜けている部分は経験豊富なSIerやベンダーに補ってもらい、自社にとって最適な提案を受けることができれば、RFPの目的は十分達成されるといえます。

8.困った時は専門家に相談しよう

「RFP作成に関して具体的なアドバイスが欲しい」

「RFPに必要な情報を抜け漏れなく盛り込めているか不安・・・」

「各社から提案を受けた後、自社に見合ったベンダーを選定したい」

・・・など、「RFPの作成」や「ベンダーの選定」に関してお悩みではありませんか?

 

コンピュータマネジメントでは、40年以上にわたり蓄積されたIT企業としてのノウハウを生かし、独自のRFP作成支援やベンダー選定支援を行っております。

RFP作成が初めての方や不慣れな方はもちろん、システム開発の外注先選びでお困りの方も、ぜひ一度当社へお気軽にご相談ください。

9.まとめ -期待通りのシステムを導入するなら、RFP作成は欠かせない

いかがでしたでしょうか?

 

RFPを発注者自身が能動的に作成して、自社のあるべき姿や現状の課題を踏まえたプロジェクトの目的・ゴールを明確にし、ベンダー側に要望を漏れなく正確に伝えることこそが、システム導入を成功させるための何よりの近道です。

今回ご紹介した内容をもとに早速RFPを作成し、ベンダー側からより優れた提案を引き出してその後のベンダー選定やシステム開発をスムーズに進めましょう。

 

なお、自社だけでRFPの作成を完結するのが難しいという企業様向けに、当社では「RFI/RFP伴走支援サービス」を行っております。

以下リンクより「RFI/RFP伴走支援サービス」に関する資料を無料でダウンロードすることができますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

お電話・FAXでのお問い合わせはこちら

03-5828-7501

03-5830-2910

【受付時間】平日 9:00~18:00

フォームでのお問い合わせはこちら

この記事を書いた人

Y.M(マーケティング室)

2020年に株式会社コンピュータマネジメントに新卒入社。
CPサイトのリニューアルに携わりつつ、会社としては初のブログを創設した。
現在は「情シス支援」をテーマに、月3本ペースでブログ更新を継続中。