【評価表サンプル付き】ベンダー選定とは?選定のプロセスや評価方法の流れを解説!

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新しいシステムの導入や古いシステムの刷新、システム統合等を検討する際は、候補となるベンダー各社から提案を募り、その提案内容を比較・評価して発注先を決定する「ベンダー選定」のプロセスが欠かせません。

 

しかし、実際には提案内容やシステムの良し悪しをどのように評価して良いか分からず、評価基準が曖昧な状態のまま選定を進めてしまうケースが非常に多くなっています。

 

そこで今回は、明確な評価基準を設けてベンダーからの提案を客観的かつ正しく評価し、自社にとって最適なベンダーを選定するための方法についてお伝えします。

・どうやって評価すれば良いか分からない

・そもそもどんな流れでベンダーを選定したら良いの?

・どんな評価基準を設定すべきだろう?

・・・とベンダー選定にお困りの方はぜひ最後までご覧ください。

 

また、本記事ではベンダー選定作業をスムーズに進めるための「評価表サンプル」もダウンロードいただけますので、雛形としてご活用いただければと思います。

目次

1.ベンダー選定とは?

「ベンダー」とは、「売り手」「販売者」という意味を持つ英単語で、製品やサービスを販売する事業者のことです。あらゆる分野で利用される言葉ですが、特にIT業界では頻繫に使用されています。

 

そして、IT業界における「ベンダー選定」とは、ユーザー企業が新システムの導入や古いシステムのリプレイス、システム統合を検討するにあたり、実際にシステムの構築や運用保守などを依頼する会社を決めることを指します。

 

ベンダーはプロジェクトの成否を分ける重要な存在であり、様々な企業がIT製品やサービスを提供している中で自社に合った最適なベンダーを選定することは、プロジェクト成功のためには絶対に欠かせないミッションといえます。

2.ベンダー選定基準を設ける必要性

ベンダー選定を行うにあたり忘れてはいけないのが、「明確なベンダー選定基準を設ける」ことです。

 

選定基準を明確にしないまま、その時の印象や直感、価格の安さ等で安易にベンダーを選択してしまうと、自社の掲げたシステム化の目的を実現できず、後になって

・思っていたものと全く違うシステムが出来上がった

・せっかくシステムを導入したのに全然役に立たなかった

・想定よりも予算が大幅にオーバーしてしまった

・手戻りが発生して大幅にスケジュールが遅延してしまった

といったトラブルが続出し、プロジェクトが失敗に終わってしまう可能性があります。

 

巨額の費用を投じて簡単には後戻りできないシステム開発プロジェクトを無事成功させるためにも、自社が何を重視するのかを明確にした適切なベンダー選定基準を設け、多数のベンダー候補の中からベストパートナーとなる1社を見極めることが重要になるのです。

3.ベンダー選定のプロセス

ベンダー選定は、主に以下のようなプロセスに沿って進められます。

ベンダー選定 プロセス

それぞれのプロセスについて、3つのフェーズに分けてご紹介しましょう。

①事前調査フェーズ

対象となるベンダー候補の情報収集を行うフェーズです。

ベンダー候補調査

まずは、候補となり得るベンダーの調査を行います。情報収集を通して自社に合っていそうなベンダーを10社前後ピックアップしてリスト化しましょう。

調査方法としては基本的に企業のホームページを中心としたネットリサーチで十分ですが、もし情報が不足するようなら専門メディアを参考にしたり、同業他社の知人から情報を収集したり、コンサルタント支援や展示会・セミナーなどを活用したりすることも有効な手段となります。

 

大手企業は信頼性が高いですが、その分コストも高くつきがちなので、中小企業やベンチャー企業も含めて幅広く候補を絞り込んでおくと良いでしょう。

RFIの作成・送付

ベンダー候補をリスト化した後は、RFIを作成して各ベンダーに送付します。

 

RFI(Request For Information)とは「情報提供依頼書」のことで、ベンダーに対して会社の基本情報や製品・サービス情報、過去実績などの提示を依頼するものです。

知りたい情報を確実に入手できるように、RFIを送付した目的・背景を明確にしながら、ベンダーが回答しやすい質問項目を用意することがポイントです。

 

RFIの概要や書き方についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご参照ください。

②選定準備フェーズ

ベンダー候補を1社に絞り込むための準備を進めるフェーズです。

RFPの作成・提出

RFIの回答が届いたら、まずはその結果を確認して自社の趣旨・目的にそぐわないベンダーやあまり熱意の感じられないベンダーを除外しましょう。この段階でベンダー候補を3~4社ほどに絞り込んでおきます。

 

そして、残ったベンダー候補に対して今度はRFPの作成・提出を行います。

RFP(Request For Proposal)は「提案依頼書」と呼ばれ、ベンダーに対してシステム導入の目的や現状の課題、自社の要望などを伝え、システム化に向けた具体的な提案を依頼するものです。

ベンダーから自社の実情に合った最適な提案を受けるために必要な文書であり、プロジェクトに対するユーザー企業およびベンダー双方の認識を合わせる重要な役割を担っています。

 

RFPの概要や書き方についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご参照ください。

評価項目の作成

ベンダーからRFPに対する提案を受ける前に、提案内容の比較検討を行うための評価項目を作成します。
これが先に述べた「明確なベンダー選定基準」にあたります。

 

評価項目作成のタイミングは、特定ベンダーへの肩入れを防ぐため提案書を受け取る前であれば問題ありませんが、可能であればRFPの作成時点で評価項目を策定しておき、RFPにあらかじめ明記しておくと、ベンダーからより自社の希望にマッチした提案を受けられるようになります。

③評価・選定フェーズ

先に作成した選定基準をもとに、実際にベンダーの評価・選定を行うフェーズです。

提案書の精査・プレゼンテーション

ベンダーからRFPに対する提案書を受け取ったら、内容について隈なくチェックを行いましょう。
この時点で不明点や疑問点があれば、ベンダーに問い合わせをしてしっかりと解消しておきます。

 

なお、場合によっては提案内容に関してベンダー側のPM(プロジェクトマネージャー)候補にプレゼンテーションを実施してもらい、その力量や人となりを見極めて評価の参考にすることもあります。

直接の質疑応答を通して不明点や疑問点を払拭し、ユーザー企業およびベンダー双方の認識のズレを無くす絶好の機会となりますので、できるだけベンダーからのプレゼンテーションは受けておきたいところです。

最終評価・選定

提案書の内容やプレゼンテーションの結果を受け、事前に準備したベンダー選定基準と照らし合わせて比較・評価を行い、最終的な発注先ベンダー1社を決定します。

各ベンダー候補の提案について評価項目に沿って採点を行い、評価結果をプロジェクトメンバー間ですり合わせます。

 

プロジェクトに対する意欲、コミュニケーションの取りやすさなど、数値では現れない評価ポイントも含めて徹底的に議論を重ね、自社にとって最適なベンダーを妥協なく選定しましょう。

4.評価方法の流れ

ここからは、ベンダーからの提案をどのように評価すべきか、その評価方法の流れについて解説します。

①評価ポイントを決める

ベンダーからの提案内容やプレゼンテーションを評価するための切り口を定めます。

 

切り分け方は自社の状況や希望によって様々ですが、主に「ベンダーの信頼性」「要件に対する適合性」「プロジェクト体制の妥当性」の3つに分類できます。

②評価項目を決める

次に、評価ポイントの内訳となる具体的な評価項目を定めていきます。

 

これも導入するシステムやプロジェクトの内容により様々な項目が考えられますが、一般的には以下のような項目を設けることが多いです。

ベンダーの信頼性:事業継続性、安定性

ベンダーの会社規模や事業、近年の財務状況などを踏まえて、事業継続性・安定性といった企業の信頼性を評価することは非常に重要です。

万が一プロジェクト進行中にベンダーが倒産してしまうと、プロジェクトが途中で頓挫してしまったり、システム本稼働後の保守が無くなってしまったりする可能性があります。

 

プロジェクトを完遂するだけの企業安定性を保持しているか確認するためにも、必ず選定基準に盛り込んでおくようにしましょう。

ベンダーの信頼性:能力、過去実績

ベンダーが提供可能なソリューションが自社の要望にマッチしているかどうか、ベンダーの得意とする分野や技術について見極めることも大切です。

過去に類似の案件を担当したことがあるか、同じ技術を用いた案件を担当したことがあるか、ベンダーのコーポレートサイトから開発実績を確認するようにしましょう。

 

もし過去の実績が公開されていない場合や、コーポレートサイトの情報だけでは不十分だと感じる場合は、RFIを利用して実績情報の提供を依頼しておくと良いです。

要件に対する適合性:要件の網羅性と実現度

RFPに記載した現状の課題やシステム化の目的、要件の内容を理解し、抜け漏れのない提案になっているかを細かく確認しましょう。

 

すべての要件が網羅されていることが望ましいですが、もし実現できない要件がある場合は代替案を提示してもらうなど、自社の要望がどこまで叶えられるのか1つ1つ丁寧にチェックしていくことが大切です。

プロジェクト体制の妥当性:初期費用とランニングコスト

価格はベンダーを選定するうえで何かと重要視しがちですが、コストだけを見て他の要素をないがしろにすると痛い目を見る可能性がありますので、あくまでも判断材料の1つとして割り切るようにしましょう。

 

ここでは、予算を確保できずに途中でプロジェクトを中断せざるを得ない状況に追い込まれないためにも、初期費用やランニングコストが自社の予算感と合っているか、見積もり額は妥当性があるかを吟味します。

プロジェクト体制の妥当性:スケジュール(納期)

今回のプロジェクトで計画された開発スケジュールや納期が、現実的で妥当なものであるか確認することも重要です。

 

あまりにも遅い納期設定の場合は自社のビジネスチャンスを逃してしまう可能性があるほか、逆に納期が早すぎてスケジュールに無理がある場合は成果物の品質低下につながりかねないので、自社およびベンダーのリソースに合った合理的なスケジュールかどうかきちんと見極めるようにしましょう。

プロジェクト体制の妥当性:ベンダーの開発、保守体制

ベンダー側で十分な開発体制や保守体制が組まれているかどうかも見落とせないポイントです。

 

開発体制については、今回のプロジェクトの位置付けを正しく認識しているか、役割分担はどうなるのか、プロジェクト成功の鍵を握るとされるPM(プロジェクトマネージャー)の経歴は申し分ないかどうか、などを確認します。

一方、システム本稼働後の保守体制については、導入後のサポート内容はどのようなものか、サポートの費用や期間はどの程度か、などを確認してその妥当性を評価します。

提案プレゼンテーションの評価

提案内容を補完するためにベンダー側がプレゼンテーションを行う場合でも、あらかじめ評価する観点を明確にしておくと効果的です。

 

評価基準の一例としては、発表資料が見やすいか、説明が簡潔で分かりやすいか、質疑応答がスムーズか、などが考えられますが、その中でも特に力を入れたいのが「PM(プロジェクトマネージャー)の人となりの確認」です。

書面で名前や経歴は確認できても、本人からにじみ出る人間性や誠実さ、経験の豊富さなどは実際に対面してみないと分からないことが多いので、この機会を利用してPM(プロジェクトマネージャー)が本当に信頼に足る人物かどうかはしっかりと見定めるようにしましょう。

③評価項目の配点を決める

評価項目が決まったら、各項目の評価を数値化して定量的に表現するために配点を振り分けていきます。

配点をシンプルにして評価者がより点数を付けやすくするには、次のような方法がおすすめです。

1.評価方法はシンプルに「○△×」の3段階とし、持ち点は○:5点、△:2点、×:0点を与える。
点数の差が近いとその違いを明確に説明しづらくなるため、差が開きやすいように点数を設定するのがポイント。

2.自社が特に重視する評価項目について重み付けを行う。
例えば、評価項目のうち「スケジュール(納期)」の評価は2倍に、「ベンダーの能力・過去実績」の評価は3倍にする・・・など。

3.各評価項目につき持ち点と重みを掛け合わせて評価点を算出し、最終的な合計点数を計算する。

「ベンダーの信頼性」と「提案プレゼン」を重視する場合の例

持ち点⇒○:5点、△:2点、×:0点
重み付け:「事業継続性、安定性」「能力、過去実績」の評価は2倍、「提案プレゼン」の評価は3倍

ベンダーの信頼性:事業継続性、安定性【持ち点×2】
ベンダーの信頼性:能力、過去実績【持ち点×2】
・要件に対する適合性:要件の網羅性と実現度【点数調整なし】
・プロジェクト体制の妥当性:初期費用とランニングコスト【点数調整なし】
・プロジェクト体制の妥当性:スケジュール(納期)【点数調整なし】
・プロジェクト体制の妥当性:ベンダーの開発、保守体制【点数調整なし】
提案プレゼン【持ち点×3】

⇒合計点数を算出

「スケジュール(納期)」を特に重視する場合の例

持ち点⇒○:5点、△:2点、×:0点
重み付け:「スケジュール(納期)」の評価のみ4倍

・ベンダーの信頼性:事業継続性、安定性【点数調整なし】
・ベンダーの信頼性:能力、過去実績【点数調整なし】
・要件に対する適合性:要件の網羅性と実現度【点数調整なし】
・プロジェクト体制の妥当性:初期費用とランニングコスト【点数調整なし】
プロジェクト体制の妥当性:スケジュール(納期)【持ち点×4】
・プロジェクト体制の妥当性:ベンダーの開発、保守体制【点数調整なし】
・提案プレゼン【点数調整なし】

⇒合計点数を算出

④評価結果を比較する

すべてのベンダー候補で評価を集計できたら、結果の比較を行いましょう。

 

総合点の高いベンダーが最有力候補となりますが、中にはプレゼンテーション時の雰囲気など、定量的な数値には反映されない評価ポイントが含まれる場合もあります。

そのため、プロジェクトメンバーの間でよく協議を重ね、必要に応じて点数調整なども行いながら、自社のパートナーとして最も相応しいベンダーを選定しましょう。

5.評価表サンプルのダウンロードはこちらから

ここまでベンダー選定のプロセスと評価方法の流れについてご紹介してきましたが、実際に自社の状況に合わせて一から評価基準を作成するとなると、多大な労力と時間がかかってしまいます。

 

そこで今回は、ベンダー評価項目の作成を効率化したい方向けに、シンプルで使いやすい評価表のExcelサンプルをご用意しました。

下記リンク先のフォームに必要事項を記入いただくと、サンプルのダウンロードが可能です。

プロジェクトの内容に応じて適宜カスタマイズいただき、ぜひスムーズなベンダー選定にお役立てください。

6.まとめ

いかがでしたでしょうか?

 

どのようなプロジェクトであっても、導入するシステムが最終的に有用なものとなるか、それとも無用の長物となるかは、選定するベンダーによってほぼ決まります。

自社の目的を実現するうえで最良のパートナーを見つけ出すためにも、明確な評価基準をしっかりと用意してベンダー選定に臨みましょう。

 

なお、「ベンダー選定を進めるにあたり、専門家の視点から具体的なアドバイスが欲しい」と感じている企業様向けに、当社では「ベンダー選定支援サービス」を行っております。

詳しくはこちらの記事をご参照ください。

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この記事を書いた人

Y.M(マーケティング室)

2020年に株式会社コンピュータマネジメントに新卒入社。
CPサイトのリニューアルに携わりつつ、会社としては初のブログを創設した。
現在は「情シス支援」をテーマに、月3本ペースでブログ更新を継続中。